3.2021年3月期は業績再拡大へ

 2021年3月期は、5Gスマートフォンの世界市場が本格的に拡大する時期になると予想されます。そのため、5G半導体用テスタの受注高、売上高は、四半期毎の波はあるものの拡大が続くと予想されます。

 DRAM、NAND型フラッシュメモリ用のメモリ・テスタも増加が予想されます。通常の在庫調整終了によるメモリ設備投資再開が今4Q以降に始まる可能性があります。

 また、日本の対韓国輸出審査厳格化によって韓国半導体メーカー(サムスン電子、SKハイニックス)の生産が滞る可能性があり、競合する東芝メモリ、マイクロン、インテルの代替生産とそのための設備投資が、早ければ今3Q以降に、遅くとも来期に入ってから始まる可能性があります。加えて、韓国メーカーの中国工場が増強される可能性もあります。

 このような見方から、楽天証券では来期2021年3月期業績を、売上高3,000億円(前年比20.0%増)、営業利益700億円(同40.0%増)と予想します。
今後6~12カ月間の目標株価を6,000円とします。楽天証券の2021年3月期予想EPS300.1円に想定PER20倍を当てはめました。前回の4,400円から引き上げます。引き続き投資妙味を感じます。

特集2:半導体関連データを概観する

1.半導体関連企業の決算をわかりやすくするために、半導体関連データを並べてみた

 7月22日の週から2020年3月期1Q決算の決算発表が本格化しています。半導体関連企業の決算も続々と発表されていますが、今回も半導体決算は重要決算になるため、理解しやすくするために、これまでに出た半導体関連データを概観したいと思います。

 まず、表4は世界半導体出荷金額(単月)の推移を見たものです。世界半導体出荷金額は2018年12月から前年割れに転じました。足元でも10%以上のマイナスが続いています。グラフ2は半導体出荷金額の中身をメモリ(DRAM+NAND型フラッシュメモリ)と、ロジック・ディスクリート他に分解したものですが、メモリ出荷金額の減少度合いが大きいことが分かります。

 ただし、グラフ3の世界半導体出荷金額(3カ月移動平均)を見ると、やや下げ止まり感も見えてきました。今回の世界半導体出荷金額の減少は、主に2018年半ばからのデータセンター投資の減速、メモリ増産によるNAND市況、DRAM市況の下落に、インテルのCPU不足によるDRAM需要の減少(CPU不足→パソコン不足→パソコンに必ず搭載されるDRAM需要が減少)などが加わったことによるものですが、メモリ市況にある程度下げ止まり感が出てくれば、出荷金額の減少程度も小さくなり、近い将来の出荷金額回復への期待も出てきます。

表4 世界半導体出荷金額(単月)

単位:100万ドル、%
出所:WSTSより楽天証券作成。

グラフ2 半導体デバイス市場の中身

単位:100万ドル
出所:メモリ(DRAM+NAND)販売金額はTRENDFORCE、ロジック・ディスクリート他は世界半導体出荷金額(単月、WSTS)からメモリ販売金額を差し引いたもの

グラフ3 世界半導体出荷金額(3カ月移動平均)

単位:1,000ドル
注:2,015年3月から「アジア太平洋・その他」から「中国」を分離
出所:SIA(米国半導体工業会)より楽天証券作成