割安でも買われない自動車株、3つのリスクが重荷

 ところが、自動車株は、PER(株価収益率)・PBR(株価純資産倍率)・配当利回りなどの指標できわめて割安に見えても、積極的な買い手が現れません。なぜでしょう?

株価指標で見て、割安に見える自動車株:2019年7月22日時点

コード 銘柄名 株価 配当利回り PER PBR
7203 トヨタ自動車 7,091.0 3.1 8.9 1.03
7267 本田技研工業 2,802.0 4.0 7.4 0.59
7201 日産自動車 766.7 5.2 17.6 0.56
※単位 株価:円  配当利回り:%  PER:倍  PBR:倍
出所:楽天証券作成
注:配当利回り・PERは、今期(2020年3月期)会社予想から計算、トヨタの配当利回りのみ市場予想

 3つの不安が、日本の自動車株の未来に暗雲を投げかけています。

【1】貿易戦争のターゲットとなる不安

 日本車にとって最も重要な市場である米国で、トランプ大統領が保護貿易主義を前面に出しています。トランプ大統領は日本の自動車産業を批判し「競争条件が不公正」と主張しています。ただし、これはほとんど言いがかりです。日本は、自動車の輸入に関税をかけていません。一方、米国は、自動車の輸入に2.5%の関税をかけています。トラック輸入には25%の高率関税をかけています。

【2】世界景気減速リスク

 2018年に次いで、2019年も、世界景気減速の影響で、自動車販売は低調となる見込みです。自動車株は世界景気敏感株で、世界景気に不透明感があると、買いが入りにくくなります。

【3】次世代エコカーで、ハイブリッド車よりEV(電気自動車)が優勢に

 次世代エコカーに、EVを優先する国が増えました。次世代エコカーとして、ハイブリッド車を中心に推進してきたトヨタ・本田など、日本勢に逆風です。
ただし先述したとおり、中国がハイブリッド車優遇に転じる可能性が出てきたことは、大きな追い風です。