相続財産それ自体を減らして相続税負担を軽減する

 相続税の節税を図るための方法は2つに大別されます。一つは、相続財産の評価額を引き下げることです。たとえば、土地に賃貸マンションを建築して評価額を下げる方法(土地の有効活用)は有名です。これは、相続税評価の高い現金を減らし、相続税評価の小さい賃貸不動産を所有することによって財産評価を引き下げる方法です。しかしながら、財産評価を引き下げる方法には一定の限界があります。

 もう一つは、相続財産それ自体を減らしてしまうことです。つまり、生前に相続財産を贈与によって親から子供へ移転しておくのです。生前に積極的に贈与を行えば、将来の相続財産を減らし、相続税負担を軽減することができます。

 贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思表示を行い、相手方がこれを受諾することによって成立します。「暦年贈与」とは、毎年1人当たり110万円の基礎控除を使い、財産の一部を子や孫に移転させておくことをいいます。暦年贈与では、1年間に贈与された財産の合計額が110万円を超えた部分にのみ贈与税が課され、110万円以下であれば贈与税は課されません。

 贈与税額=(贈与財産の課税価格−基礎控除110万円)×税率

 以下の速算表を使う場合、【課税価格×税率–控除額】と計算します。

[図表1]贈与税の速算表