米国株は乖離に注目!

図5:NYダウ(日足)と移動平均乖離率(75日)の動き (2019年6月28日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 NYダウの史上最高値は昨年10月3日の2万6,951ドルですが、最近でも6月21日に2万6,907ドルまで上昇する面があり、現在の株価位置も最高値圏にあります。また、先ほどの日経平均や中国株(上海総合指数・香港ハンセン指数)とは違い、NYダウは75日移動平均線から大きく上放れています。下段の移動平均乖離率(75日)で具体的に見てみると、先週末時点でプラス2.15%ほどの乖離です。

 過去1年ほどの傾向では、乖離率がプラス5%を超えた辺りが天井の目安となっていることが多くなっています。このパターンに沿って考えれば、まだ上値余地があると言え、先週末(6月28日)の75日移動平均線は2万6,040ドルですので、プラス5%乖離で2万7,342ドルということになります。もちろん移動平均線の値は日々変化していきますので、その度にプラス5%乖離の値をチェックしていく必要があります。

 もっとも、米中首脳会談を受けた米国株市場の反応がイマイチとなる可能性もあります。その理由はこれまでの米国株の上昇要因です。主に「米FRBによる利下げ」と「米中摩擦の改善」の両社に対する期待感が米国株を押し上げてきました。

 そもそも、米FRBの利下げ期待の背景にあるのは「米中摩擦の長期化と実体経済への影響懸念」です。米中関係が改善に向かえば、実体経済への不安も後退することになり、利下げを正当化する理由も薄らぐことになります。現在の米国株市場は年内に2~3回の利下げ実施を織り込んでいるとも言われているため、相場シナリオが再構築される展開も想定されます。7月は日米の企業決算が本格化するタイミングでもあり、政治的な思惑だけではなく、企業業績や経済指標などの実体経済面が相場を動かす場面が増えそうです。