パウエルFRB議長が過度な利下げ期待をけん制

 先週、もう1つ話題になったのは、6月25日のFRB(米連邦準備制度理事会)パウエル議長の講演です。「金融緩和の必然性は高まっているが個別のデータや短期的な心理の振幅に過剰反応しないようにも注意している」と話しました。これは、過度な利下げ期待をけん制する発言と捉えられました。米金融市場では前のめりの利下げ期待が広がり、長期金利(10年国債利回り)は一時2%割れまで低下していましたが、パウエル発言を受けて、2%台に戻りました。

 パウエル発言前、金融市場では7月31日FOMC(米連邦公開市場委員会)での0.25%利下げはほぼ確実、年内2~3回の利下げもあり得るとの思惑が広がっていました。ところが、25日のパウエル発言を受け、前のめりの利下げ期待には少し修正が入りました。
早期利下げ期待がやや後退したことを受け、先週のNYダウは小反落となりましたが、日経平均は小幅に上昇しました。パウエル発言で円高の進行が止まったことが日本株にはプラスとなりました。

 パウエル発言前の6月25日、米利下げ期待で一時1ドル=106.78円まで円高が進んでいました。パウエル発言後は円安に転じ、一時108円台をつけました。

ドル/円為替レートの動き:2018年初~2019年6月末

注:楽天証券経済研究所が作成