発想の転換で、DCファンドを個人向けに

 ネット直販窓口開設当初の扱いファンドは「SMAM・グローバルバランスファンド(機動的資産配分型)<愛称:資産配分おまかせくん>」「三井住友・ライフビュー・バランスファンド30(安定型)」「三井住友・ライフビュー・バランスファンド50(標準型)」「三井住友・ライフビュー・バランスファンド70(積極型)」の4本(現在は計8本)。いずれもバランス型のアクティブ・ファンドだが、実はこれらはすべてDC向けファンドだった。

 長期投資や分散投資、積み立て投資を世の中に広めるという目的で直販事業を立ち上げ、これに適したファンドを販売する予定だった同社。具体的に何を販売すべきか検討を重ねるうちに、「自分たちが運用するDC向けファンドの中にいくらでもあるじゃないか」と気づいたという。DC向けファンドのため、販売手数料はゼロ。信託報酬も低めに設定してあったのだ。

 スタート時、口座数は順調に増えていく。だが、宗正さんはそれに満足することなく、もっと先を見ていた。この当時、「破竹の勢い」と称されるほど、顧客数を増やしていたネット証券と手を組むことにしたのだ。実は直販チャネルを開設したのは、この布石でもあった。

「私たちよりもはるかにお客さまに近い販売会社、とりわけネット証券さんのお力を借りることが不可欠だろうと思っていました。私たちが力を合わせてこの国の資産運用市場をより活性化していくために」

 自分たちも独自のネットチャネルを持っていれば、いずれネット証券と手を組むとき、何らかのシナジー効果を引き起こせるのではないか。宗正さんにはそうした狙いがあったのだ。

 そしてネット証券での販売を始めたのは、直販チャネルを開設した半年後の2015年9月。スタート時の大手ネット証券1社から、現在、ほとんどのネット証券でDCファンドを販売している。