3.2020年3月期会社予想は28%増収、26%営業増益だが、上方修正の可能性がある

 今期2020年3月期会社予想は、売上高435億円(前年比28.3%増)、営業利益18億円(同25.8%増)です。

 2019年3月期に買収した4社、テクノハウス、サマサウンド(いずれも音響機器販売)、日本環境アメニティ(旧「日本板硝子環境アメニティ」、音響工事)、TLS PRODUCTION(アメリカにおけるコンサート・イベント事業)の業績寄与は、売上高約100億円、営業利益約3億円(のれん代償却約1億円を控除後)になります。これを会社予想から差し引くと、売上高は前年比1%減収、営業利益は同5%増益となり、買収前のベースでは業績は横ばいとなります。

 会社側は、前期に貢献した音響機器販売の案件大型化が一服すると見ています。また、後述のような夏から秋にかけての大型イベントによって、同時期の東京での大型ライブ開催が難しくなり、地方では代替しにくいこともマイナス要因です。

 ただし、音楽ライブの大型化自体は引き続き続いており、コンサート・イベント事業ではライブ1件当たりの売上高が増加しているもようです。

 また、今期予想される大型イベントのいくつかが、会社予想に織り込まれていないもようです。今期は2019年8~9月にラグビーワールドカップ、10月に東京モーターショー、10、11月に即位の礼に伴う一連の儀式などの大型イベントが東京で計画されています。

 これらのことを考慮し、楽天証券では2020年3月期業績予想を、売上高460億円(前年比35.7%増)、営業利益20億円(同39.8%増)と予想します。

 

4.2021年3月期はオリンピックイヤーで好業績が続こう

 来期2021年3月期は、2020年8月開催の東京オリンピック・パラリンピックの影響が大きくなると予想されます。東京オリンピックの各施設向け音響機器販売と映像・音響機器の貸出・運営が増加すると予想されます。コンサートホール向け音響機器販売も、日本武道館(2019年9月から約1年間改修)のほか、2020年以降に首都圏で新設されるコンサートホールが数件あることから、販売増加が予想されます。

 ただし、2020年7~9月に首都圏で大型ライブが開催できなくなると思われることがマイナス要因です。

 一方、2022年3月期以降は、2020年以降に改修明けする施設、開業する施設に、東京オリンピック用の施設でコンサートに転用できる施設が加わることで、東京オリンピックの反動をかなり吸収できると思われます。そのため、2022年3月期は業績鈍化が予想されるものの、大きな落ち込みは考えにくいと思われます。

 今後6~12カ月間の目標株価は、前回の3,300円を維持します。2021年3月期楽天証券予想EPS139.6円に想定PER20~25倍を当てはめました。引き続き投資妙味を感じます。