2.マイクロソフト「Azure」の高成長

 主要パブリッククラウドサービスと提供企業名は以下の通りです。

2018年推定マーケットシェア(クラウドインフラストラクチャ)

出所:Canays Cloud Channels Analysis, February 2019

 この業界のシェアは、この分野の老舗と言えるアマゾンのAWSがトップです。しかし、RightScale社のレポートではAWSの利用率に伸び悩みの傾向が見られ、マイクロソフトのAzureの利用率が7ポイント拡大しています(出所:RightScale State of the Cloud Report 2019 from Flexera)。

パブリッククラウドの利用率推移

 調査対象786社が「使用している」と答えた割合

注:調査対象786社、うち1,000人以上の従業員数の企業が456社、1,000人未満が330社、調査は2019年1月に実施
出所:RightScale State of the Cloud Report 2019 from Flexera

 マイクロソフトのAzureの増収率を確認すると、現在も7割を超えて速いスピードで売上高が拡大していることが分かります。

Azure売上高増収率の推移

  • 2018年7-9月期…76%増(前年同期比)
  • 2018年10-12期…76%増(前年同期比)
  • 2019年1-3月期…73%増(前年同期比)
参考:2019年1-3月期アマゾンAWS…41%増(前年同期比)
出所:会社資料より楽天証券作成

 マイクロソフトのAzureが企業に受け入れられているのは、Azureがさまざまなシステムとのシームレスな統合を図っているためと考えられます。Azureでは同社が展開する他のサービス、例えば「Office 365」との連携がスムーズに行えます。また、オンプレミス(自社運用のハードウェア)のデータや作業をAzureと連動させることもできます。

 オンプレミスや企業独自のプライベートクラウドとの親和性は、パブリッククラウドを導入・活用してもらうために重要です。スタートアップであれば別ですが、歴史ある企業の場合、既に独自のシステムが長年にわたって構築されているためです。