2020年「発送電分離」後の「送配電会社」に注目

 日本では今、電力事業の自由化が進行中です。既に、発電事業・電力小売事業への参入が自由化され、東京ガス(9531)大阪ガス(9532)など異業種から、参入が相次いでいます。

 電力自由化の仕上げとして、2020年に「発送電分離」が予定されています。既存の電力大手が、発電会社・送配電会社・電力小売会社に分割されます。東京電力HD(9501)は、その準備として、既に3事業を社内分社しています。

 分割されることで、電力会社が弱体化すると考える人もいますが、私は、逆だと考えています。既存の電力大手から原発事業が分離されるならば、残った事業が息を吹き返す可能性があります。

 特に注目しているのは、「送配電会社」です。先に述べたとおり、日本は送配電で世界トップクラスの技術力を有しています。世界には非効率な電力網がたくさんあり、日本の技術の貢献余地は大きいと考えられます。東京電力は福島原発事故を起こす前、この技術を積極的に輸出しようとしていました。それが、原発事故によって頓挫した経緯があります。

 原発事故の補償を、国の責任で完全に行うことが前提となりますが、送配電事業が、原発事業と完全に資本分離されるならば、投資妙味の高い会社になる可能性があります。
ただ、発送電分離がどのような形で行われるか、細部は決まっていません。送配電会社に、原発事業との資本的なつながりが残るならば、投資は難しいとの判断になります。2020年の発送電分離がどういう形で行われるのか、具体的な中身が決まるのに、注目したいと思います。