経済・投資に関する話題の内容を、証券マンの筆者独自の視点で、掘り下げていくこの連載。今回は「J-REIT」(ジェイ・リート:国内の上場不動産投資信託)の値動きの特徴をお伝えします。

前回までの記事
【1】J-REITの主な特徴:J-REITが成長している理由は?長期投資に向いているワケ

【2】J-REITの不動産タイプ別の特徴:オフィス、施設…どこに注目する?

【3】J-REITの値動きの特徴:今は買いどき?売りどき?

「真実」なんておおげさですが、J-REIT市場にはちょっと面白い特徴があります。もちろん、過去データのため今後の保証はできませんが、今後も続くようなら上手に運用できるかもしれません。

1カ月の前半に売られることが多く、後半は買いが多い

 J-REITは2003年から「1カ月の前半に売られることが多く、後半は買いが多い」
傾向があります。

J-REIT指数 2003年3月末から2019年5月末まで、上旬と下旬の値動きの合計、年別

出所:Bloombergデータより楽天証券作成
注:上旬は前月末終値から15日終値まで。15が休日の場合は以降最初の営業日終値まで。
下旬は上旬の最終営業日終値から月末終値まで。月末が休日の場合には月中の最終営業日の終値まで。
2003年は4月から9か月分、2019年は5月まで5か月分

 データ作成は単純です。J-REIT指数は2003年3月31日が1,000ポイントです。同4月15日は1,026.30ポイントなので、【+26.30】が2003年4月上旬のデータです。同じように同4月30日は1,079.29ポイントですので、4月15日の数字を引いた【+52.99】が2003年4月下旬のデータです。これを2019年「5月31日の1,916.92ポイント」まで作成して、年別にまとめると上記の表になります。

 見ての通り、下旬はすべてがプラス。リーマンショック、チャイナショック、東日本大震災、欧州債務危機とありましたが、すべてプラスなのです。

 一方の上旬は、4勝13敗です。下旬の合計4,213.86から上旬の合計3,296.94を引き算すると、916.92となります。スタートが1,000ポイントなので、これに足すと2019年5月31日、1,916.92ポイントと一致します。ということは、J-REIT指数がスタートしたときに投資をした後、ずっと持っていたら、1,916ポイント。毎月下旬だけに投資をしてたら4,213.86ポイントの分、利益が出たということ。

 実際には、途中でもらえる配当に違いがあるため、単純比較はできないのですが、今までの傾向はとれると思います。
 ちなみに、月次の上昇・下落の回数を集計したら、以下の通りとなりました。

2003年3月から2019年5月まで、全194カ月分のデータ