今年も日銀が、日本株の最大の買い手

 買いだけを、年6兆円ものペースで行う投資主体は、日銀以外にありません。2019年(1~5月)も、日銀が日本株の最大の買い手となっています。

2019年1~5月の日本株主体別売買、買い越し・売り越し上位3主体

出所:日本銀行のETF買い越し額は日本銀行。その他は東京証券取引所主体別売買動向(2市場1.2部)より楽天証券が作成

 上記の売買主体の特徴につき、以下、簡単に説明します。

<安定的な買い主体>日本銀行
金融政策の一環として、年6兆円のペースで日本株ETFを買いつけている。日本銀行が買い付けるETFを組成するために、証券自己部門などが日本株を買い越す。一部、日銀の買いが信託銀行の買いなどに含まれている可能性もある。買い方は非開示で、実態は正確にはわからない。

<安定的な買い主体>事業法人
  事業法人の買いは、主に「自社株買い」。株主への利益配分の一環として、毎年安定的に1兆円以上を買い越している。

<売ることも買うこともある>信託銀行
  主に、年金基金などの売買。株価上昇局面では、日本株の組入比率が高くなるので、リバランス(比率調整)のために売り越すことが多い。株価下落局面では、日本株の組入比率が低くなるので、比率調整のために買い越すことが多い。

<売ることも買うこともある・マーケットを支配>外国人投資家
 日本株の短期的な値動きを決めているのは、外国人投資家である。買う時は上値を追って買い、売る時は下値を叩いて売ることが多いので、外国人が買い越した月は日経平均が上昇し、売り越した月は日経平均が下落することが多い。

<売ることも買うこともある>個人投資家
 日本株の上昇局面で売り越し、下落局面で買い越すことが多い。実態以上に、売り越し額が大きく出る傾向がある。なぜならば、個人投資家がIPO(新規公開株)を取得して上場後に売る場合、統計上売りだけが計上されるからだ。IPO取得は、買いに計上されない。したがって、IPOが多いときには売り越しで出ることが多い。IPOを除く売り越し金額は、もう少し小さい。

<安定的な売り主体>銀行・生損保
持ち合い解消売りを進めている。過去も今後も、一貫して売り越しが続く見込み。