意外な最高益更新企業

 トラック輸送業は、過当競争で、長年にわたり収益が低迷しているイメージを持たれています。そのため、株価も割安なバリュエーションに据え置かれている企業が多くなっています。ところが、現実には、物流の増加と料金引き上げで最高益を更新する企業が増えてきています。

 ハマキョウレックス(9037)(会社予想ベースPER11.4倍:6月5日時点)、丸全昭和運輸(9068)(同PER8.1倍)、センコーグループHD(9069)(同PER10.8倍)は、いずれも今期(2020年3月期)、連続で経常最高益を更新する予定です。

国際物流の拡大で成長する日本通運

 日本通運(9062)は、1950年代から陸海空の国際物流強化に取り組み、世界40カ国以上に約1,700の拠点を持ちます。近年、アジアでの事業拡大が続き、連結収益の約4割が海外事業となっています。貿易取引が増えていることに加え、越境EC(国を超えてのEコマース)が拡大していることも、追い風です。

 国際物流は、国内に比べて収益性が低く、収益性の改善が課題となっています。それでも、近年、収益が改善しつつあります。日本通運は、国内の宅配便から撤退しましたが、海外事業の成長により、前期(2019年3月期)まで5期連続で経常最高益を更新してきました。

 今期(2020年3月期)は、社員制度改革(同一労働同一賃金の徹底など)による人件費上昇があり、減益となる見通しですが、中長期的に海外の成長は続くと考えられます。

 国内では、宅配便から撤退し、産業貨物を中心に取り扱っています。国内で料金引き上げが少しずつ通り始めていることも追い風です。業績が堅調な割りに株価の評価は低く、日本通運の投資価値は高いと判断しています。

日本通運の業績推移

出所:同社決算資料

 

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