日経平均、NYダウともに下落、「Wボトム」形成ならず

 5月の取引最終日となる31日(金)の日経平均終値は2万601円で、前週末終値(2万1,117円)比では516円安でした。週足ベースでは4週連続の下落となり、「令和」相場が始まってまだ上昇を見せていません。

 今週から6月入りとなりますが、先週末の先物取引が大取(大阪取引所)で2万450円、CME(シカゴ)で2万435円と2万500円を下回って終えているため、軟調なスタートが予想されますが、このまま日経平均は下値を模索する展開となるのでしょうか?

 まずはいつもの通り、図1で足元の様子から見ていきます。

■(図1)日経平均(日足)の動き(2019年5月31日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週の日経平均の値動きを振り返ると、戻りを試すような動きで始まりましたが、直近の戻り高値(5月20日の2万1,430円)に届かなかったことで、週の半ばからは失速し、週末にかけてさらに下げ足を速める展開となりました。

 終わってみれば、節目の2万1,000円台だけでなく、直近安値(5月14日の2万751円)も下回ってしましました。これにより、前回指摘した「Wボトム」の形成は崩れたことになります。また、ローソク足に注目しても、週末31日(金)に見せた下落がきつくなっていて、大きな陰線になっています。

 この週末の株価下落をもたらしたのは、不法移民対策を背景に「メキシコに対して制裁関税を課す」とつぶやいたトランプ米大統領のツイートでした。米中摩擦以外にも政治的による景気下押し材料が突如として湧いて出てきたことで不透明感が強まった格好です。実際に行動に移されるのかどうかはまだ不透明ですが、事実となってしまえば米国経済への影響は避けられません。

 このように、上値・下値ともに切り下がる形が目立ち始めている他、移動平均線でも25日線が75日線を下抜ける「デッド・クロス」が実現していますので、確かに相場の地合いは下方向への意識を強めているように感じられます。

 また、前回も紹介した通り、米NYダウも日経平均と同じく、Wボトムの形成が意識されていましたが、こちらも崩れています。さらに、上値と下値が切り下がる下落トレンドの形成が色濃くなっている他、25線と75日線のデッド・クロスも達成し、株価水準も2万5,000ドルの節目を下回っています(下の図2)。

■(図2)米NYダウ(日足)の動き (2019年5月31日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成