投機筋の流入が目立つコーヒー価格の5月上昇率は、15%超え

 そして今、穀物に加えてコーヒーの価格も上昇しています。2019年5月はおよそ16%の上昇です。

図4:コーヒー先物の価格推移 

単位:セント/ポンド
出所: ICEフューチャーズU.S.のデータより筆者作成

 以下は米国のコーヒー先物市場の投機筋の買い越し幅(買い枚数 - 売り枚数)の推移です。マイナス圏が縮小していることが分かります。5月上旬、底堅く推移していたコーヒー価格が、投機筋の流入によって反発色を強めたと考えられます。

図5:コーヒー先物の投機筋の買い越し幅 

単位:枚
出所:CFTC(米商品先物取引委員会)のデータより筆者作成

 以前のレポート「チャートが描いた『鬼の角』。綿花相場を動かしたゴーストを暴く」で述べた、一部の穀物銘柄の上昇をきっかけとして他の農産物銘柄が物色されて価格が上昇する「農産品の連鎖的同時上昇」が起きている可能性があります。

 令和初月となった2019年5月は、米中貿易戦争の激化によって景気に敏感な株価指数や一部のコモディティ銘柄の下落が目立ちました。しかし、天候や生育サイクルが主要な変動要因である農産物においては、その限りではなく、むしろ独自要因で大きく上昇しました。

 特にコーヒーは、以前のレポート「底値を維持する5つのコモディティ銘柄。リーマン・ショック後の安値がサポート!」で書いたとおり、歴史的な安値水準にあった銘柄の一つです。

 今後の動向に注目したいと思います。