作付け、発芽の遅れが深刻な穀物は3銘柄そろって大幅上昇中

 令和初月、貿易戦争が激化する中、トウモロコシ相場が大きく上昇しました。

 以下は、トウモロコシと主要の農産物の価格推移です。

図2:穀物相場の値動き(2019年5月) 

単位:セント/ブッシェル
出所:CMEのデータをもとに筆者作成

 トウモロコシ、大豆、小麦、3つの穀物銘柄は、いずれも5月半ばより騰勢を強めています。要因は、それぞれの先物市場で最も取引量が多いトウモロコシで、今年の生産量が大幅に減少することを示唆するデータが出始めたためです。

 以前「2月の大雪と肉食人口増で、2019年のトウモロコシ相場に異変!?」でレポートしましたが、毎年5月は主要生産国の米国でトウモロコシの作付けが行われ、発芽する時期に当たります。

 5月下旬は、例年であれば作付け進捗率(※)は90%以上終えています。発芽率は60%程度で推移しています。

※3月末に公表した作付け意向面積に対し、実際に作付けが行われた面積の割合。

 しかし、2019年は天候不順の影響で、5月下旬の作付け進捗率は58%、発芽率は32%とともに例年の半分程度の進捗となっています。このままいけば、今年秋の収穫量は想定の半分程度になってしまう可能性が出てきます。

図3:米国産トウモロコシの作付け進捗率と発芽率

 

出所:USDA(米農務省)のデータをもとに筆者作成

 このように足元のトウモロコシ価格の上昇は、天候不順のため、作付けと発芽が極端に悪い状況となり、今年の生産量が想定を大きく下回る可能性が生じたことが要因になっているとみられます。

 そして今週から、トウモロコシの生育状況のデータの公表が始まります。これは、作付け進捗、発芽率に加えて、発芽して生育しているトウモロコシの状況を5段階で評価するものです。この重要なデータについては、次週以降の本レポートで詳述します。

 一方の大豆は、米中貿易戦争で関税引き上げ対象となっている具体的な品目で、中国による米国産大豆の輸入減少、米国の在庫増加が顕著になっていますが、トウモロコシ価格の上昇を受けて価格が上昇していると考えられます。