米中の対立深まる。日経平均の上値は重い

 先週の日経平均株価は1週間で94円下落し、2万1,250円となりました。先週は、米中対立がどんどんエスカレートし、世界経済を破壊してしまう不安から、日経平均が一時2万751円まで売られました。ただし、米中協議は継続しており、「いずれ何らかの落としどころを見つけて合意する」期待も根強くあることから、その後、買い戻されました。それでも、先行きが読めなくなったことから、上値の重い展開が続いています。

 ここでいつものように、2018年1月以降、日経平均を動かしてきた要因を振り返ります。

日経平均週足:2018年1月4日~2019年5月17日

出所:楽天経済研究所作成

 2018年は、「世界まるごと好景気」から始まりました。景気・企業業績は好調でしたが、貿易戦争激化と米金利上昇の不安が、日経平均の上値を抑えていました。2018年2月と10月に、米金利上昇をきっかけとした世界株安があり、日経平均も急落しました(緑の矢印で表示)。

 2018年12月以降、世界株安がさらに進み日経平均は一段安となりましたが、このときは株安の理由が変わりました。中国景気が変調をきたし、つれて世界的な景気悪化が懸念されるようになりました。そのため、米金利上昇不安はなくなりました。

 世界景気悪化と、貿易戦争激化の不安が、2018年12月と2019年5月の世界株安および日経平均急落の要因となりました(赤の矢印で表示)。