​バンダイナムコホールディングス

1.2019年3月期は8%増収、12%営業増益


 バンダイナムコホールディングスの2019年3月期は、売上高7,323億4,700万円(前年比8.0増)、営業利益840億4,500万円(同12.0%増)となりました。2019年3月期3Q決算時の会社予想は、売上高7,100億円(同4.7%増)、営業利益750億円(同0.0%増)でしたが、これを上回る堅調な決算でした。

 また、前4Q(2019年1-3月期)は、売上高2,035億8400万円(前年比4.3%増)、営業利益141億9,000万円(同34.2%減)となりました。1年前の2018年3月期4Qが高水準だったため営業減益となりましたが、会社予想を上回りました。

 2019年3月期をセグメント別に見ると、トイホビーは9.2%増収、50.0%営業増益と大幅増益になりました。国内、海外のハイターゲット(20歳代以上の高年齢層)向け、「機動戦士ガンダム」のプラモデル、「ドラゴンボール」関連商品などが好調でした。

 ネットワークエンターテインメントは、4.4%増収、5.2%営業減益となりました。スマホゲームが「ドラゴンボールZドッカンバトル」中心に堅調でした。家庭用ゲームでは、新作ソフトの「ソウルキャリバーⅥ」(2018年10月18日発売、PS4/Xbox One/PC[STEAM])、「ゴッドイーター3」(2018年12月13日発売、PS4/PC[STEAM])、「エースコンバット7」(2019年1月17日発売、PS4/Xbox One/PC[STEAM])、「ジャンプフォース」(2019年2月14日発売、PS4/Xbox One)が各々順調で、2019年3月期4Qは「ジャンプフォース」が会社予想を上回りました。

 リアルエンターテインメント(アミューズメント施設運営と業務用ゲーム機の開発、販売)は、12.1%増収、34.6%営業増益となりました。機動戦士ガンダムの業務用ゲーム機が好調で、アミューズメント施設では新業態の出店が順調でした。

 映像音楽プロデュースは、11.9%増収、32.9%営業増益となりました。「ラブライブ!サンシャイン!!」などの映像・音楽ソフト、「アイドリッシュセブン」「Aquors」のライブイベントやグッズ販売が好調でした。

 IPクリエイションは、32.4%増収、4.6%営業減益となりました。「機動戦士ガンダム」「ラブライブ!サンシャイン!!」などの映画、動画配信、テレビ放送によりライセンス収入が増加しましたが、新作品の制作費負担で一桁減益になりました。

表2 バンダイナムコホールディングスの業績

株価:5,320円(2019/5/16)
発行済み株数:219,791千株
時価総額 1,169,288:百万円(2019/5/16)
単位:百万円、円
出所:会社資料より楽天証券作成
注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
注2:発行済み株数は自己株式を除いたもの。

表3 バンダイナムコホールディングスのセグメント別業績(通期ベース)

単位:百万円
出所:会社資料より楽天証券作成。
注:2018年3月期からセグメント分けが変更されたため、2017年3月期以前のセグメントとは接続しない。

表4 バンダイナムコホールディングスのセグメント別業績(四半期ベース)

単位:百万円
出所:会社資料より楽天証券作成。
注:2018年3月期からセグメント分けが変更されたため、2017年3月期以前のセグメントとは接続しない。

 

2.2020年3月期会社予想は減収減益の見通しだが、上方修正の可能性がある

 2020年3月期会社予想業績は、売上高7,200億円(前年比1.7%減)、営業利益700億円(同16.7%減)です。新IP(知的財産)への投資が活発であること、海外事業の中で中国事業の立ち上げに注力するため費用が先行することなどが主な減益要因です(中国事業の売上高は、2019年3月期180億円、2020年3月期会社予想230億円)。また、今期会社予想売上高は各セグメントともにおおむね低い伸び率か減収となっています。

 一方で、各セグメントの今期を展望すると、トイホビーでは今2Qから「ウルトラマンタイガ」の放送がスタートし、AI技術を使ったデジタルカードゲーム「ゼノンザード」を2019年夏に発売する予定であり(AI会社HEROZと協業)、2019年は「機動戦士ガンダム」40周年にあたるため、さまざまな企画が予想されます。ネットワークエンターテインメントでは、2019年2月に配信開始したスマホゲーム「荒野のコトブキ飛行隊 大空のテイクオフガールズ」に注力する方針で、家庭用ゲームでは「ドラゴンボール」新作(PS4、Xbox One)を2019年に発売する予定です。映像音楽プロデュースでは、「荒野のコトブキ飛行隊」のスマホゲームと新作映像のコラボ企画、IPクリエイションでは、「ガンダム」新作映像の展開などが予定されています。

 このように、各セグメントで今期も伸びる要因があります。そのため、楽天証券では2020年3月期業績を売上高7,700億円(前年比5.1%増)、営業利益920億円(同9.5%増)と予想します。また2021年3月期は、これまでの投資が実る時期になるため、順調な業績拡大が予想されます。

3.目標株価を6,000円から6,800円に引き上げる

  今後612カ月間の目標株価を6,800円とします。20203月期楽天証券予想EPS298.0円に、中長期の成長性を考慮した想定PER2025倍を当てはめました。前回の6,000円から引上げます。投資妙味を感じます。

表5 バンダイナムコIP別売上高(グループ全体)
 

単位:億円
出所:会社資料より楽天証券作成

 

本レポートに掲載した銘柄:ガンホー・オンライン・エンターテイメント(3765)バンダイナムコホールディングス(7832)