今週も、日経平均は上値の重い展開か

 先週の世界株式は、トランプ米大統領がツイッターで発信するメッセージに右往左往する展開でした。

 最初5月5日に、トランプ大統領がツイッターで「中国との通商合意が難しく、10日に中国からの輸入2,000億ドルの関税を25%に引き上げる」と警告すると、6日に上海総合株価指数が急落しました。

 ところが、その後、トランプ大統領が「習近平中国国家主席からすばらしい書簡をもらった」と発信すると、追加関税はぎりぎりの交渉で回避されるとの期待が高まり、NYダウ・中国株とも下げ渋りました。しかし、結局、10日0時1陣(日本時間では9日の13時1分)に追加関税は発動されました。

 追加関税発動が発表された後、上海総合株価指数は反発しました。協議決裂ではなく、引き続き、ワシントンで協議が続けられていたため、「追加関税はいったん発動されたが、近く何らかの合意が得られる」との期待が広がり、株の買い戻しが進みました。そのムードを反映して、先週末(5月10日)のCME(シカゴ・カーマンタイル取引所)日経平均先物(6月限)は、2万1,490円(先週末の日経平均終値対比+146円)まで反発しました。

 ただし、週末に市場の淡い期待は、破られました。ワシントンで続けられていた米中の閣僚級の通商交渉は、結局、合意を得ることができないまま、終了しました。これを受けて、米政府は、現在関税を掛けていない中国からの輸入約3,000億ドル(約33兆円)にも、25%の制裁関税を課す方針を発表しました。5月13日にも、関税をかける品目のリストを公表する予定としています。

 米中協議は、決裂とはならず続けられますが、短期的な合意は難しい状況となりました。合意が得られない間、米中間でさらなる関税引き上げの応酬が続くと、世界経済全体に悪影響が及ぶ可能性が高まります。

 今週の日経平均は、貿易戦争が激化する不安から、上値の重い展開が続きそうです。ただし、私は、2020年に世界景気は回復に向かうと予想していますので、下がったところは、長期投資で良い買い場になると判断しています。