旧札廃止の経済効果は数兆円規模!?

 金融機関や日本銀行の事務負担は大きくなりますが、旧札廃止の経済効果は数兆円規模に達する可能性があります。まず、タンス預金が有効活用されます。引き換えてもらった新紙幣の一部は再びタンス預金になるかもしれませんが、預金を通じて市中に回れば、経済に貢献します。また、脱税や違法取引による不正蓄財の洗い出しにも繋がります。

 日本銀行や政府にとっては、旧札廃止で思わぬボーナスが手に入るかもしれません。というのも、日本銀行の負債に計上されている発行銀行券は市中で損耗した紙幣も計上されています。旧札廃止の期間までに金融機関に持ち込まれなかった紙幣も含めて、負債から除去できれば、発行銀行券総額の数%であっても、数兆円の負債が減ることになります。

 その場合、負債が減った分を日本銀行の純資産の部に計上するのか、国庫に納付することになるかは政治案件となりそうですが、どちらにしても悪い話ではないと思います。日本銀行は保有するETF(約25兆円)と比べて自己資本が心許ないですので、中央銀行の財務基盤強化に繋がりますし、国庫に納付すれば国の予算が増えます。

 改刷は周期が長く、毎回、色々なドラマや逸話が生まれます。今回は取り分け異例尽くし。日本銀行券発行高の膨張とタンス預金増加という事情も合わさって、今後、様々な議論が出てきそうです。

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