イランからの供給が減少することとなれば、2020年1月以降もOPECプラスは減産を行う?

 6月25日にOPEC総会、翌26日にOPEC・非OPEC閣僚会議があり、そこで6月で終了する現在の減産を7月以降も継続するかが決定するとみられますが、もし、5月初旬以降順次、イランからの原油供給が減少することとなった場合、OPECプラスは昨年の流れを踏襲し、イランの減少分を補うことを大義名分として、限定的な増産を可能とした上で減産継続を決定する可能性があります。

 IEA(国際エネルギー機関)が先月公表した2019年3月のOPECおよび非OPECそれぞれの減産順守率から推計したOPECプラス全体の減産順守率は124%でした。100%を超えているため、昨年同様、100%を下回らない(減産を順守し続ける)ことを条件に増産をすることが可能です。

図:OPECプラス全体の減産順守率

単位:千バレル/日量
出所:OPEC、IEAのデータより筆者推計

 減産順守率は1月以降上昇傾向にありますので、実際には現在よりも “増産枠”が大きい状態で、7月以降、年末にむけて駆け込み増産が行うことができます。そして、駆け込み増産の果てに行き着く先は、“2020年1月からの減産”です。

 もちろん、そうならない場合もあります。米国政府の方針が変わり、再びいくつかの国がイランとの石油取引が猶予されることとなった場合、原油価格が急騰しすぎて減産継続を否定するムードが世界的に高まり、かつOPECプラス自身も減産を行う動機を見出しにくくなった場合、また、OPECプラスの中で仲違いが起き、利害関係に変化が生じた場合、などです。

 原油価格はさまざまな材料が絡み合い、推移しています。イラン、OPEC、米国、などの材料を単体で見るよりも、それらを関連付けてみることが重要なのだと筆者は思います。