減産を継続するかどうかは、原油生産量の推移で分かる?“駆け込み増産”とは?

 以下の図は、OPEC11カ国の原油生産量の推移です。

図:OPEC11カ国の原油生産量の推移

単位:百万バレル/日量
出所:海外主要メディアのデータをもとに筆者作成

 減産開始、減産継続など、これから大きく原油生産量を減らそうとする重要な節目のおよそ半年から、急激に生産量が増えていることが分かります。彼らは何をしているのでしょうか? 筆者はこれを減産前の“駆け込み増産”と呼んでいます。

 11カ国合計で、日量2,550万バレルを下回らないようにしながら減産を行うことを目指しているとみられます。そもそも減産は、あえて生産量を減らす、得られたはずの外貨を自ら放棄する意味を持つ、産油国にとって身を切る行為という面があります。その意味では11カ国合計でこの日量2,550万バレルは死守したい生産量なのかもしれません。

 逆を言えば、駆け込み増産が行われるとき、そのおよそ半年後に、減産が実施あるいは延長される可能性があるということです。

 市場は過去数十年間の経験則と、OPECという存在へのある種の畏怖の念から、OPECが減産をすれば原油価格は上がる、と思い込んでいる節があります。このため、減産=原油価格上昇という図式が簡単に成り立ってしまいます。(余談ですが、OPECがカルテルだというのは、市場がOPECをカルテルだと“思い込んでいる”面があると筆者は考えています。逆にOPECは上手にそう思い込ませているのだと思います。)

 このおよそ2年半、OPECは死守したい生産量を維持しながら、原油価格を引き上げることに成功してきた、と言えます。