先週は、外部環境一服し、1万9,351~1万9,561円の狭いレンジのもみあい

先週の予測

 引き続いて北朝鮮をめぐる地政学的リスクとトランプ大統領の政権運営に対する懸念があるため、外部環境次第では目先1万9,000円を試す動きを想定しました。
結果
 商いが薄い中、外部環境も一服していたことで、下値は1万9,351円、上値は1万9,561円と狭いレンジの中のもみあいに終始し、週末25日(金)の終値は1万9,452円で引けました。先週は週始めから5日連続で売買代金2兆円を割る低水準でした。


 21日(月)は、前週末は欧米株安だったものの円高一服から買い先行で始まり、+39円の1万9,509円で寄り付きましたが、すぐに下げに転換し、一時▲104円の1万9,365円の安値をつけました。売り一巡後はETF買い観測に下げ渋り▲77円の1万9,393円と4日続落となりました。


 22日(火)は、米韓合同演習を受けての北朝鮮の反応が不透明なため様子見気分強く、方向性に乏しい動きとなって▲9円の1万9,383円と今年初の5日続落でした。 この日の引け後の米国市場では、税制改革案についてトランプ大統領側と議会のリーダーとの間で前進があったと報じられたこともあり、株式市場はほぼ全面高となり、NYダウは+196ドルの2万1,899ドルと4月以来の大幅上昇となりました。  


 23日(水)の日本市場は、米国株高と109円台後半への円安を受け+163円の1万9,547円で寄り付き、1万9,561円まで上昇するものの買い一巡後は上げ幅を縮小しました。後場になると「トランプ大統領がメキシコ国境の壁建設資金で政府閉鎖も辞さない」と述べたという報道から一段と上げ幅を縮小し+24円の1万9,408円まで下げましたが、+50円の1万9,434円と6日ぶりに反発しました。


 24日(木)は、前日の米国市場でトランプ大統領の発言を受け3日ぶりに反落したことで、日経平均も売り先行となり、一時▲82円の1万9,351円と直近の安値を更新し、▲80円の1万9,353円と反落しました。25日(金)は、円高一服で買い先行しシカゴの先物で米国株価先物が強含みの動きとなっていたことで日経先物にも断続的に買いが入り、上げ幅を拡大して一時+132円の1万9,485円まで上昇し、終値は+98円の1万9,452円と反発して引けました。1週間を通して下値は1万9,000円水準を試す動きにはなりませんでしたが、一方で上値重く終値ベースでは1万9,500円を回復できませんでした。


 25日(金)の米国市場はジャクソンホールでのイエレン議長の講演では、金融政策についての言及がなかったことで早期利上げ観測は強まらず、国債利回りは低下して株式は堅調な動きとなり、NYダウは一時+120ドルの2万1,906ドルまで上昇しましたが、終値では+30ドルの21,813ドルでした、シカゴの日経先物は前日と変わらずの1万9,450円となりました。

今週は、8月雇用統計を控え様子見続く

 今週は引き続き、北朝鮮情勢とトランプ政権への懸念からこう着感の強い展開となりそうです。休日の間の26日(土)には、北朝鮮が短距離弾道ミサイルを3発発射しましたが、米国を射程に収める長距離ミサイルでなかったことで、米韓合同演習に対するけん制だとみられ、特別に地政学的リスクは高まっていません。一方でトランプ大統領は「人種差別」の元保安官に恩赦を与えたことで政権批判に歯止めがかりそうにない状況となっています。


 日経平均は、薄商いの中を為替のわずかの動きに左右される展開となっていますが、先週のジャクソンホールでのイエレン議長の講演では、金融政策について言及がなかったことで、利上げの時期は不透明なままとなりました。そのため今週末の8月雇用統計が注目となります。雇用統計が予想を上回れば年内利上げ観測が台頭し、その後の経済指標の結果によっては利上げ観測が高まりドルが買われやすくなります。

 一方でトランプ大統領がメキシコ国境の壁建設に関する予算を確保できなければ政府機関の閉鎖も辞さないと言及しており、政府の債務上限引き上げ可否を巡る問題もあり、株安・ドル安の要因となる可能性があります。そういう米国の状況を考えると為替は方向感が出にくく日経平均も1万9,000~1万9,700円のレンジの中で、さらに1万9,300~1万9,500円の小さなレンジを中心とした動きになりそうです。


 28日は、先週のジャクソンホール会合のイベントを通過したことで、朝方は買い戻しが先行し、一時+82円の1万9,535円まで上昇しましたが、買い一巡後は円の強含みを受け伸び悩みました。下値も堅く▲32円の1万9,420円の安値をつけたあとはこう着状態となり、先週末の終値近辺での動きとなり▲2円の1万9,449円の小反落で引けました。売買代金は6営業日連続の2兆円割れとなっていることで大型株は避けて内需の中小型株中心に買われているようで、トピックスは+3Pの1,600Pとなっていました。


日経平均は200日移動平均線(本日1万9,310円)を前に踏み止まっていますが、ここを終値で切ってくるともう一段下が想定されます。


(指標)日経平均

先週の予測
 引き続き北朝鮮リスクやジャクソンホール会合でのイエレン議長の講演があり、様子見が続くことになるとし、外部環境次第では1万9,000円水準を試す可能性もあるとしました。


結果
 為替や米国株式が落ち着いていたことで、日経平均ももみあいとなり、安値は1万9,351円、高値は1万9,561円と約200円幅のレンジの動き。売買代金は5日連続の2兆円割れという低水準でした。


今週の予想
 ジャクソンホールでの会合やイエレン議長の講演を受けて、為替がどう動くかになります。一時108円台までの円高になったものの週末は109円台後半まで円安が進みましたので、今後の動向に注目となります。円安が進行すれば日経平均が買い戻されますが、北朝鮮をめぐるリスクはくすぶり、トランプ政権では迷走が続くことになります。為替の動きに左右される展開となりやすく1万9,000~1万9,700円のレンジの中で、1ドル=110円を上回る円安になってくると1万9,700円を試す動き、逆に108円台に入ってくると1万9,000円を試す動きとなりそうです。

 


(指標)NYダウ

先週の予測
 ジャクソンホールシンポジウムでのイエレン議長の講演が注目とし、トランプ大統領の政治的混乱が続けばトランプラリーで上昇した分が剥げ落ちる可能性があるとしました。


結果
 米韓軍事演習が始まったにもかかわらず、北朝鮮の行動はなくバノン主席戦略官の退任で一服したこで、米国株式は堅調な動きとなりNYダウも週始めの21日(月)に2万1,600ドルまで下げたあと、戻りを試す動きとなり週末の25日(金)は+30ドルの2万1,813ドルで引けました。注目のイエレン議長の講演は利上げに関する言及はなく、利上げ観測後退から利回りが低下し、株は買われる動きとなりました。


今週
 引き続き、北朝鮮リスクとトランプ政権の政治リスクへの懸念で上値は限定的と思われます。米国では政府の債務上限引き上げ問題や税制改革閣議の遅れの懸念から投資家心理の悪化が重しとなる恐れがあります。これらの懸念が明らかに解消に向かわない限り、株式市場は不安定な動きが出てくることになります。

 


(指標)ドル/円

先週の予測
 北朝鮮情勢で米韓合同軍事演習に対して北朝鮮が何ならかの行動に出ればドル売り、一方でイエレン議長の講演で追加利上げの時期に何らかの示唆があればドル買い、ということでもみあいが想定され108~111円のレンジを想定しました。


結果
 北朝鮮の反応はなく(相場が終わった26日の土曜日にミサイル発射)、イエレン議長の金融政策についての言及もなかったことでドル買いは限定的でした。21日に108.64円までドルが売られましたが、その後、税制改革の実施をトランプ政権の財務長官が公約したことでドルが109.84円まで買われましたが、イエレン議長の講演で利上げの時期については何の言及もなかったことで、ドル売り優勢となり109.12円までドルが売られて109.33円で引けました。


今週の予想
 北朝鮮がミサイルを発射したことで、地政学的リスクが高まっています。また、米国の政府の債務上限問題への懸念も高まっており、可否をめぐってはドルの上値も重くする一方で税制改革が共和党議員の間では合意が形成されているとの見方が広がっています。法案成立を見込んだドル買いの期待もあります。それぞれの思惑が交錯して方向感が出にくい展開となりそうです。108~111円のレンジを想定。