株式を贈与する側・もらった側の税金は?

 まず、今回のように、自分が持っているものを他の誰かにタダであげた(贈与した)場合、贈与した側(今回であれば社長)には税金はかかりません。よく、相続対策で親御さんが子どもや孫に財産を生前に贈与することがありますが、タダで渡す分には、渡す側は税金の問題は生じません。

 一方、贈与を受けた(もらった)側は、贈与税の対象となります。従業員が社長から株をもらう場合、会社から給料を受け取ったのではなく、あくまでも社長個人からもらったので、所得税ではなく贈与税の対象となるのです。

 一般に税務の世界では、贈与した側(渡した側)を「贈与者」、贈与を受けた側(もらった側)を「受贈者」と呼びます。

贈与を受けた株は果たして「いくら?」

 贈与税を計算するには、まず贈与を受けた財産がいくらなのか、金銭価値に置き換えなければなりません。もし100万円の贈与を受けたなら、それは当然100万円として評価されます。ですが、株式の場合は少し複雑になっています。

 例えば、メディアドゥホールディングス株の贈与日(4月11日)の株価の終値は2,578円でした。上場株式の場合、贈与日の終値で評価するのが原則です。ただし、贈与日の終値よりも「贈与日の属する月の終値の平均値」「贈与日の属する前月の終値の平均値」「贈与日の属する月の前々月の終値の平均値」の方が低い場合は、そちらを使ってもよいことになっています。

 したがって、4月11日に贈与を受けた場合は

  • 4月11日の終値
  • 4月の終値の平均値
  • 3月の終値の平均値
  • 2月の終値の平均値

のいずれか最も低い金額で評価することになります。

 現時点で4月の終値の平均値はまだ出せませんが、3月終値の平均値は2,738円、2月終値の平均値は2,356円です。4月の株価次第ですが、現時点では最も低い2月終値平均の2,356円で評価することになります。