今週から始まるTAG交渉(日米物品貿易交渉)」には要注意

 2020年の景気回復を織り込む流れが始まっているというのが、私の基本観ですが、それが市場コンセンサスになるまでには、かなりの紆余曲折が予想されます。景気が悪いことを示す指標が増えている一方、2020年に向けて回復が見込まれることを示す指標はまだ少ないからです。

 貿易戦争がまだ続いていることも、注意を要します。米中の協議に注目が集まりますが、米欧、日米の協議もまだ決着していません。今週始まるTAG交渉(日米物品貿易交渉)は要注意です。トランプ米大統領は、交渉の始めに強硬姿勢を示し、交渉が進むにつれて柔軟な条件交渉に入る傾向があるからです。

 先週は、欧州との通商協議で、友好的なムードをぶち壊す強硬姿勢を見せて、驚かれました。日本に対しても、最初は同じように強硬姿勢を見せる可能性があります。為替条項(円安誘導の禁止)の要求や、農産物(米・麦・砂糖・豚肉牛肉・乳製品)でのさらなる市場開放を日本に強く要求し、応じなければ日本からの輸入に高い関税をかけるという脅しをかけてくることも想定しておいた方がいいかもしれません。

 中国との交渉に集中するために、日本との交渉では強硬姿勢を見せないとの楽観論もありますが、交渉の始めから友好姿勢は、あり得ないと思います。