4月第1週は外国人投資家が久々に買い越し
先週(4月第2週)の日経平均株価は、1週間で63円上昇し、2万1,870円となりました。これまで日本株を売り越してきた外国人投資家が、4月から買い越しに転じた可能性があり、日経平均は堅調に推移しています。
日経平均週足:2018年1月4日~2019年4月12日
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外国人投資家は、昨年後半から日本株を大量に売り越してきましたが、4月の第1週は久々に6,227億円の買い越しとなりました。
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出所:東京証券取引所「主体別売買動向2市場1・2部」
外国人投資家から見ると、日本株は「世界景気敏感株」です。外国人は、昨年8月~今年3月に日本株を約4兆8,500億円も売り越しています。中国景気の悪化、ツレて世界景気のピークアウトが鮮明になる中、日本株の保有をどんどん減らしていました。
ところが、4月の第1週は、6,227億円の買い越しに転じました。外国人の考えが少し変化した可能性があります。中国景気の悪化が比較的短期に終息するとの見方も出ています。2020年の中国景気、世界景気に対する悲観が緩和したことを受け、年初来、中国、米国株が大きく上昇しました。中国株、米国株に比べて、日本株の出遅れが目立つことから、外国人が少し日本株を買い戻したと考えられます。
景気への悲観が和らいだ背景には、米中通商協議が近く合意に達し、2020年にかけて世界景気が回復に向かう期待があります。そうした期待を背景に、「世界景気敏感株」である日本株にも、少し外国人の買いが入ったというところです。
日米中の株価指数推移:2017年末~2019年4月12日
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本欄で、繰り返しお伝えしていますが、私は、1~3月が2019年の世界景気悪化を織り込む最終局面となり、4月から年後半にかけて2020年の世界景気回復を織り込みつつ、日経平均は上昇すると予想しています。年末の日経平均予想は、2万3,000~2万5,000円です。これまでの動きは、おおむね私の考えるメインシナリオに沿って、動いています。
今週から始まるTAG交渉(日米物品貿易交渉)」には要注意
2020年の景気回復を織り込む流れが始まっているというのが、私の基本観ですが、それが市場コンセンサスになるまでには、かなりの紆余曲折が予想されます。景気が悪いことを示す指標が増えている一方、2020年に向けて回復が見込まれることを示す指標はまだ少ないからです。
貿易戦争がまだ続いていることも、注意を要します。米中の協議に注目が集まりますが、米欧、日米の協議もまだ決着していません。今週始まるTAG交渉(日米物品貿易交渉)は要注意です。トランプ米大統領は、交渉の始めに強硬姿勢を示し、交渉が進むにつれて柔軟な条件交渉に入る傾向があるからです。
先週は、欧州との通商協議で、友好的なムードをぶち壊す強硬姿勢を見せて、驚かれました。日本に対しても、最初は同じように強硬姿勢を見せる可能性があります。為替条項(円安誘導の禁止)の要求や、農産物(米・麦・砂糖・豚肉牛肉・乳製品)でのさらなる市場開放を日本に強く要求し、応じなければ日本からの輸入に高い関税をかけるという脅しをかけてくることも想定しておいた方がいいかもしれません。
中国との交渉に集中するために、日本との交渉では強硬姿勢を見せないとの楽観論もありますが、交渉の始めから友好姿勢は、あり得ないと思います。
これから始まる日米の1~3月決算にも注意
これから、日米で1~3月の業績発表が始まります。米国の企業業績の伸びは、鈍化する見込みです。2018年の大型減税効果が一巡するからです。米中貿易戦争の影響も、出てくる見込みです。ややネガティブな決算となる可能性もあります。
日本の企業業績にも、警戒が必要です。日本では3月期決算企業が、新年度(2020年3月期)の業績予想を発表します。世界景気に不透明感が出ていること、今年10月に消費増税が予定されていることから、今回はかなり慎重(低め)な予想が発表される見込みです。
日経平均は、今週にも2万2,000円を回復する可能性がありますが、そのまま一本調子の上昇が続くとは考えられません。もし、決算発表や政治不安から日本株が売られる局面があれば、そこは長期的スタンスで日本株を買っていって良いと思います。
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