アドバンテスト
会社側では2020年3月期は、メモリ・テスタだけでなくSoCテスタ(非メモリ・テスタ、ロジック半導体など向けテスタ)の需要も減少するとしています。しかし、半導体業界全体でロジック半導体向け設備投資が増加すると予想されるため、楽天証券ではアドバンテストの2020年3月期のSoCテスタ需要は高水準横ばいと予想します。
ちなみに、スマートフォンのCPUにAI(人工知能)が組み込まれることが多くなっていますが、これはテストの複雑化、テスト時間の長時間化を引き起こしており、SoCテスタの増加要因になっています。
また、2021年3月期はメモリ・テスタ、SoCテスタともに需要が増加すると予想されます。
この予想に従って、楽天証券ではアドバンテストの業績を、2020年3月期は売上高2,630億円(前年比5.4%減)、営業利益560億円(同11.1%減)、2021年3月期は売上高2,950億円(同12.2%増)、営業利益700億円(同25.0%増)と予想します(2020年3月期楽天証券予想は前回予想と同じ)。
2021年3月期楽天証券予想EPS311.6円に想定PER13倍を当てはめ、今後6~12カ月間の目標株価を4,000円とします。前回の3,300円から引き上げます。中長期の投資妙味を感じます。
表4 アドバンテストの業績
表5 アドバンテストの事業別売上高
レーザーテック
2019年6月期2Q(2018年10-12月期)の受注高は206億3,600万円となり、前年同期の70億1,500万円、2019年6月期1Qの56億3,100万円に比べて急増しています。会社側が中身を未公表にしている新規事業約160億円が含まれる2018年6月期1Qの211億100万円に匹敵する大きな受注高になりました。
この中身の多くが世界シェア約60%のマスク欠陥検査装置で、最新鋭のEUV(極端紫外線露光装置)向けマスクブランクス欠陥検査装置も入っています。いずれも主にロジック半導体の製造ラインで使われるものであり、ロジック半導体の設備投資が活発になっていることを裏付ける受注内容です。
2020年6月期の楽天証券業績予想は、前回と同じ売上高350億円(前年比25.0%増)、営業利益90億円(同38.5%増)です。2021年6月期楽天証券業績予想は、売上高440億円(同25.7%増)、営業利益130億円(同44.4%増)です。2020年6月期、2021年6月期の業績予想には、ロジック半導体向け設備投資の増加によるマスク欠陥検査装置、マスクブランクス欠陥検査装置の需要増加に加え、2020年6月期から数期間にわたって計上される予定の総額約160億円の新規事業を考慮しています。
2021年6月期楽天証券予想EPS217.3円に成長性を考慮した想定PER30倍を当てはめ、今後6~12カ月の目標株価を6,500円とします。前回の5,200円から引き上げます。中長期の投資妙味を感じます。
表6 レーザーテックの業績
グラフ4 レーザーテックの全社受注高
ディスコ
ディスコの魅力はダイサ(回路を書き込んだシリコンウェハをチップに切り出す)、グラインダ(シリコンウェハの底面を削る)で世界シェア約80%のトップであることと、この高シェアと効率経営を背景とした高い営業利益率(2018年3月期実績で30.5%)です。
一方で、ディスコの業績は、世界の半導体工場の稼働率、特に生産数量の多いメモリ工場の稼働率に左右される傾向があります。そのため、足元の業績は下降局面と思われます。
ただし、前述のように、今年後半にDRAM需要が回復すれば、2020年3月期下期からディスコの業績にも回復の兆しが現れる可能性があります。また、東京エレクトロン、アドバンテストの株価が上昇しているため、ディスコの株価も連れ高している傾向があると思われます。
楽天証券の2020年3月期、2021年3月期業績予想から計算した予想PERは既に20倍を超えており、東京エレクトロンやアドバンテストに比べて高い水準にあります。ただし、他社同様2021年3月期にはディスコの業績も回復すると予想されるため、株価も更なる上昇が期待されます。
楽天証券では、今後6~12カ月間のディスコの目標株価を22,000円とします。2021年3月期楽天証券予想EPS854.5円に想定PER25倍強を当てはめました。前回の18,000円から引き上げます。
表7 ディスコの業績
本レポートに掲載した銘柄:東京エレクトロン(8035)、アドバンテスト(6857)、レーザーテック(6920)、ディスコ(6146)