米国株の基調は強い

 続いて米国株の基調の強さにも注目してみます。ここでは、米国株のトレンドを捉えるために、2つの線形回帰トレンドでチェックしていきます。

 まずは、足元のNYダウが史上最高値をつけた昨年10月3日を起点とした線形回帰トレンドです。

■(図3)米NYダウの線形回帰トレンド(2018年10月3日を起点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 NYダウはこの日を境にして、年末にかけて下落トレンド入りしてしまったわけですが、線形回帰トレンドの傾きはすでに右肩上がりになっており、下落トレンドから上昇トレンドの方向性に切り替わっていることが分かります。また、株価とσ(シグマ)の位置関係を見ても、「やや強気ゾーン」から「強気ゾーン」に足を踏み入れている状況です。

■(図4)米NYダウの線形回帰トレンド(2018年12月25日を起点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 さらに、昨年末につけた安値の12月25日を起点とした、株価の戻りを線形回帰トレンドと重ねて合わせてみると、こちらは上昇トレンドの「やや弱気ゾーン」から抜けようと試みている状況となっています。異なる2つの起点でトレンドを捉えても米株市場の基調の強さが読み取れ、上値を追えそうな印象になっています。

 とりわけ、最近のNYダウについては、先ほどの史上最高値である昨年10月3日の2万6,951ドルを意識する声が増えています。先週末終値の2万6,424ドルと比べると、まだ500ドル以上離れていますが、この差を埋める動きが今週も出てくるかもポイントになりそうです。

 

株価下落に向かう「潮目の変化」には要注意

 そのため、基本的には今週も上方向への意識が強い展開が見込まれますが、注意しておきたい点もあります。

 先ほどの図2の左側を見ても分かる通り、日経平均の足元の株価水準を過去に遡ってみると、昨年の夏場に4カ月近くにわたってもみ合いが続いた価格帯でもあり、ここから2万3,000円台にかけては上値の抵抗が強くなっていく可能性があります。

 さらに、今年2月からの日経平均は窓空けによって相場の節目を超える場面が増えていることも気掛かりです。窓空けの多さについては以前から指摘していますが、取引時間中に値を伸ばすという展開が少ないため、結果的に日経平均は上昇しているものの、実際にこの流れに乗ってうまく利益を得るのは難しかったと思われます。「儲かった」実感があまりない相場のため、いざ、相場のムードが悪化すると、株価下落のピッチが思った以上に速くなる展開には警戒しておく必要があります。

 新年度相場が幸先の良いスタートになったことで、「潮目が変わった」という見方が増えています。恐らく、ここから株価の本格上昇へ向かう変化に対しての見解かと思われますが、本当に注意しなくてはならないのは、ここから下落に転じる方の潮目の変化の方なのかもしれません。