中国株の上昇目立つ、日経平均は出遅れ

 ようやく少しずつ戻り歩調を強めている日経平均ですが、それでも米国株・中国株に比べると、出遅れが目立ちます。

日米中の株価指数推移:2017年末~2019年4月5日

注:2017年末の値を100として指数化、楽天証券経済研究所が作成  

 最近、中国株(上海総合株価指数)の戻りが早く、上のグラフでわかる通り、2018年初来のパフォーマンスで、日経平均は、中国株に抜かれました。

 中国株は、米中通商交渉が、数カ月以内に何らかの合意に達することを先取りして動いていると言えます。米中貿易戦争、ハイテク戦争の影響で、設備投資に急ブレーキがかかっていますが、米中協議が「なんらかの落としどころ」に落ち着けば、人為的に止められていた設備投資が動き出すと考えられます。

 米中貿易戦争の影響で、中国だけでなく、米国の製造業にも悪影響が出始めています。これ以上、貿易戦争がエスカレートすると、米国内でトランプ米大統領への批判が高まる可能性があります。トランプ大統領は、いったん何らかの合意を得て、成果を獲得したことをアピールしたいと考えているでしょう。また、中国でも、中国景気の悪化を受けて、習近平国家主席への批判が高まりかねない状況になっていますから、中国も何らかの合意を得たいと考えている模様です。

 株式市場では、米中貿易戦争が、いったん休戦になることを織り込んで、2020年にかけて世界景気が回復することを織り込み始めていると思います。AI(人工知能)・IoT(モノのインターネット化)・5G(第5世代移動体通信)・ロボットなどへの投資が、世界的に盛り上がると予想されます。

 なお、米中貿易戦争、ハイテク戦争に、解決策はないと思います。今後、5~10年以上にわたり、覇権争いが続くと思います。休戦しても、いずれ再び、争いは起こるでしょう。ただし、それでも株式市場では、いったん、休戦を織り込む展開が続くと思います。
 

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