景気敏感株が買われる、日経平均は2万1,000円台の値固め
先週の日経平均株価は、1週間で602円上昇し、2万1,807円となりました。中国の景気指標改善を受けて、中国関連・設備投資関連株が買われました。また、米国の半導体株価指数(SOX指数)が年初来高値を更新したことを受けて、半導体関連株も買われました。WTI( ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物が1バレル63ドル台まで上昇したことを受けて、資源関連株も買われました。
総じて、景気敏感株が上昇した週となりました。一方、これまで株価が堅調だった電鉄や食品などのディフェンシブ株(景気変動の影響を受けにくい株)は、値下がりが目立ちました。機関投資家の一部に、ディフェンシブ株の組み入れを下げ、景気敏感株の組み入れを上げる動きがあったと考えられます。2020年の景気回復を織り込む、最初の動きが出ている可能性があります。
日経平均週足:2018年1月4日~2019年4月5日
日経平均は、2万1,000円台に定着しつつあります。2018年に日経平均は、2万1,000円から2万4,000円までのボックス相場で推移していました。再び、そのボックス圏に戻ってきました。
2万1,000円は、2018年には下値支持線として機能していました。一時的に2万1,000円を割れることがあっても、その範囲に戻っていました。世界景気の悪化を受けて、2018年末から2019年2月まで2万1,000円を割れた状態が続いていましたが、2020年の世界景気回復を織り込みつつ、再び、2万1,000円台に戻ってきたと考えています。
本欄で、繰り返しお伝えしていますが、私は、1~3月が2019年の世界景気悪化を織り込む最終局面となり、4月から年後半にかけて2020年の世界景気回復を織り込みつつ、日経平均は上昇すると予想しています。年末の日経平均予想は、2万3,000~2万5,000円です。これまでの動きは、おおむね私の考えるメインシナリオに沿って、動いています。
中国株の上昇目立つ、日経平均は出遅れ
ようやく少しずつ戻り歩調を強めている日経平均ですが、それでも米国株・中国株に比べると、出遅れが目立ちます。
日米中の株価指数推移:2017年末~2019年4月5日
最近、中国株(上海総合株価指数)の戻りが早く、上のグラフでわかる通り、2018年初来のパフォーマンスで、日経平均は、中国株に抜かれました。
中国株は、米中通商交渉が、数カ月以内に何らかの合意に達することを先取りして動いていると言えます。米中貿易戦争、ハイテク戦争の影響で、設備投資に急ブレーキがかかっていますが、米中協議が「なんらかの落としどころ」に落ち着けば、人為的に止められていた設備投資が動き出すと考えられます。
米中貿易戦争の影響で、中国だけでなく、米国の製造業にも悪影響が出始めています。これ以上、貿易戦争がエスカレートすると、米国内でトランプ米大統領への批判が高まる可能性があります。トランプ大統領は、いったん何らかの合意を得て、成果を獲得したことをアピールしたいと考えているでしょう。また、中国でも、中国景気の悪化を受けて、習近平国家主席への批判が高まりかねない状況になっていますから、中国も何らかの合意を得たいと考えている模様です。
株式市場では、米中貿易戦争が、いったん休戦になることを織り込んで、2020年にかけて世界景気が回復することを織り込み始めていると思います。AI(人工知能)・IoT(モノのインターネット化)・5G(第5世代移動体通信)・ロボットなどへの投資が、世界的に盛り上がると予想されます。
なお、米中貿易戦争、ハイテク戦争に、解決策はないと思います。今後、5~10年以上にわたり、覇権争いが続くと思います。休戦しても、いずれ再び、争いは起こるでしょう。ただし、それでも株式市場では、いったん、休戦を織り込む展開が続くと思います。
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