4月に注目したい新興株の動き
この4月は要注意といえそうです。それは、4月27日~5月6日の「10連休」。外部環境に翻弄される性格の日本株市場だけに、3連休前でもポジションを整理しておく動きが起きますが、未曾有の10連休。この10連休における“価格変動リスク“は無視できません。
それでなくとも、マザーズ市場は過去2年の4月相場が軟調でした。マザーズ指数は昨年の4月が月間▲5.3%、一昨年が▲3.8%。5月前半にラッシュとなる決算発表を前に、警戒で一度売却する動きが起きやすい時期といえます。今年に関しては、10連休明けに集中する形になりますし、例年以上にガイダンスリスク(市場予想より弱い予想を出す会社が多くなるリスク)が高いともいえます。
ただ、前述の“価格変動リスク”というのは、両側面があります。株のロングを持っている投資家にとっては、「10連休明けに急落するかもしれない」。ショートに傾けている投資家にとっては、「10連休明けに急騰するかもしれない」ということがリスクです。つまり、例えば今多くなっているダブルインバースの買いポジション(=日経平均売りポジション)は、連休前に売却に回り(=日経平均買い戻し)価格押し上げにつながる側面もあるわけです。個別株でも、空売りが溜まっている銘柄は同様です。
そのため、東証1部市場でいえば、思ったほど売りヘッジにより手前で崩れない可能性もあります。実際、東証1部の3月末時点の信用買い残を金額ベースで計算すると1兆4,938億円ありますが、売り残も7,686億円あります(信用倍率1.94倍)。一方でマザーズは、買い残が2,408億円あるのに対し、売り残は174億円(信用倍率13.8倍)。これ、簡単にいえば、上がって欲しいと思っている人のポジションが下がって欲しいと思っている人の13.8倍ある状態。いわゆる“買戻し”なる概念がほぼ無い市場と言えますので、10連休前、マザーズ市場が突然崩れるリスクには十分構えておかないといけないわけです。
しかも、この4月に突入する前、1月~3月の3カ月にわたりバイオ株相場が生じていたことも無視できません。前述しましたが、3月の売買代金トップ10のうち、上位6銘柄がバイオ株でした。しかも新興市場全体の流動性の約3割がこのバイオ株6銘柄。マザーズの信用買い残もバイオ株に偏った状態で、最も心配されるのが“株価モメンタムの悪化”になります。
株価が上昇基調にある間を、モメンタムがある状態と表現します。そのモメンタムが買いの動機になっている場合、モメンタムが止まる(株価が下がり始める)と売られます。そしてバイオ株の場合、売られ始めたときに「適正価格が一切分からない」という弱点があります。下がったものの、どの水準なら売られ過ぎといえるのか? それを判断する材料が無いのがバイオ株です(赤字のため)。そのバイオ株に個人投資家のポジションも、マザーズ指数そのものも大きく構築された後である点が不安の根っこ。4月は捨て、10連休明けから始まる「令和」のマザーズ相場に期待するくらいのスタンスで良いのではないでしょうか。