減産順守・延長への期待が高まり、諸問題が鎮静化に向かえば上値を伸ばすか

 2019年秋ごろまでは、一進一退で推移する世界景気の動向、そして6月にヤマ場を迎えるOPECプラスの動向、7月以降も減産継続となればその順守状況に注目する展開が続くと考えられます。

 米国に関わる供給増加とトランプ大統領の口先介入は、継続案件として秋まではもちろん、その後も注目していくことが必要です。これら4つの動向が重なり合い、原油相場は推移していくと考えられます。

 特に、OPECプラスと米国の供給面については、3月に複数の新たなことが分かりました。減産監視委員会を経て、6月までの原油に関するスケジュールや、OPECプラスは減産を守っていないが、市場は全体の生産量減少を材料視していること、EIAが公表した各種データから、米国の供給圧力がとどまることを知らず、2020年後半には輸出国になることが分かりました。

 全体的に見れば、原油市場には複数の上昇要因と複数の下落要因があると言えます。

 原油市場は一時60ドルに達しましたが、その後、59ドル台でやや横ばいで推移しています。これは、材料がなく横ばいなのではなく、上昇・下落両方の材料が作用した上で横ばいなのだと考えられます。

図:足元の原油市場の上昇要因と下落要因

出所:筆者作成

 今後もこれまでのように、複数の下落要因に上値を押さえられながらも、何とか複数の上昇要因がそれらをはねのけ、上値を目指す状況が続く可能性があります。どれだけOPECプラスが結束して減産を順守することができるか、7月以降の減産継続にこぎつけられるか、そしてそれらによって市場からの減産へ寄せる期待を高められるか、そして世界に存在する大規模なリスクが鎮静化に向かうかがポイントになるとみられます。