OPECプラスは2月も減産順守未達。減産監視員会の構成国の増加に注目

 OPECプラスの*減産については、OPECプラスの一部の国で構成されるJMMC(減産監視員会)が公表した減産順守率からも分かるとおり、減産初月となった2019年1月も翌2月も順守されていません。

*減産とは、意図的に複数の産油国が一斉に原油生産量を減少させ、世界の石油需給バランスを引き締める行為で、原油価格の上昇要因となる。逆の行為として増産もある)。

 

 しかし、減産順守率の計算から除外されているOPEC加盟国(ナイジェリア、リビア、ベネズエラ)で生産量が減少していることによってOPECプラス全体の生産量が減少して見えています。合意が守られていないこと(下落要因)と、全体で生産量が減少していること(上昇要因)が同居しています。

 また、以下は3月18日(月)に、減産監視委員会で公表、議論・決定した内容です。具体的な減産順守率の値が公表されました。100%を上回れば減産順守ですが、OPECプラス合計で1月も2月も100%を下回り、減産非順守となったことが明らかになりました。

図:2019年3月18日に開催された減産監視委員会について

出所:OPECの資料より筆者作成

 

 

 同日の減産監視委員会では6月までの産油国の会合のスケジュールにおいて、一部変更、未決定部分の決定がなされました。4月の臨時総会が見送りになり、代わりに減産監視委員会が5月に開催されること、開催月が未決定だった定時総会が6月に開催されることとなりました。

 スケジュール変更とともに注目したいのは、減産監視委員会を構成する国が増えたことです。減産監視委員会は2017年1月から始まった減産の開催が決定した際に誕生した、減産の進捗状況の分析・確認・報告をする組織で、減産に参加するOPECプラスの国の一部で構成されています。

 これまではサウジやロシアなど、6カ国で構成されていましたが、今回の減産監視委員会で、2018年にOPEC総会の議長を務めたUAEをはじめとした4カ国が構成国となり、合計10カ国となりました。これにより、減産監視委員会の構成国は減産を実施する国21カ国のおよそ半分になったわけです。この10カ国のOPECプラス24カ国に占める生産シェアはおよそ80%です(1月時点)。

 OPEC側のリーダーであるサウジ、非OPEC側のリーダーであるロシア、そして昨年議長をつとめたUAEが名を連ねるようになり、さながら、総会のような組織となりました。4月に予定されていた臨時総会が見送られましたが、5月に組織が拡大した減産監視員会が行われますので、実質的に、4月に予定されていた臨時総会が5月に延期されたと言えます。

 ではなぜ、4月から5月に延期になったのでしょうか。それは、5月上旬とみられる米国によるイランへの制裁再開が関わっていると考えられます。2018年11月4日が猶予期間の終了日でしたが、翌日より日本や中国など8カ国への石油の輸出を認める180日間の猶予期間に入りました。5月3日がその猶予期限の最終日です。

 つまり、米国に方針の変更がなければ、今年5月上旬より制裁によって本格的にイランからの供給が減少する可能性があります。その状況を確認した後に、臨時総会(実際には減産監視委員会)を開催し、イランの件を含めた上で、6月で終了する減産を7月以降も継続するのかを検討する方針あるとみられます。終了か延長かの決定は、6月の定時総会でなされるとみられます。

図:原油関連の6月までのスケジュール

出所:各種資料より筆者作成