米経済指標に弱さ、GDPは減速予想

 FRBが1月に政策変更をした背景として、公表された議事録では「見通しにおけるさまざまなリスクや不透明感」があると言及されています。

 具体的には「最近の物価動向の停滞」や「貿易戦争や世界経済減速の影響」が挙げられており、特に欧州と中国の先行き不透明感が指摘されています。要するに、先行きの不透明感は海外経済の減速が主因と分析しているわけですが、2月以降の米国経済指標に弱さが目立ってきています。このままでは1~3月期のGDP(国内総生産)がかなり減速するとの見方が広まってきています。

 例えば、直近データを用いてリアルタイムにGDPを予測するアトランタ連銀の「GDPナウ」は、3月の時点で1~3月期GDPを年率0.5%成長と予想し、ニューヨーク連銀の「ナウキャスト」は年率1.4%成長を予想しています。両者の予想に開きはありますが、前期の10~12月期GDP2.6%の成長から見ると、かなりの減速予想です。

 このように海外経済だけでなく米国経済も減速傾向がはっきりすれば、物価は上がらず、FRBの忍耐強い期間も長期化することが予想されます。その結果、ハト派姿勢が今よりも強くなれば、さすがに株上昇の勢いは弱くなり、長期金利は一段と低下し、ドル安が鮮明になってくることが予想されます。

 FRBは、まだしばらくは景気について、慎重ながらも弱気姿勢は示さないと思われますが、夏前には方向性が定まってくるかもしれません。