――分散投資という観点からは、日本株に加えて外国株式にも投資をした方がいいですか?

中桐 投資を始める人のリスク許容度にもよりますが、時価総額ベースで全世界の株式に投資する投資信託が合理的だと、私は思います。

横山 私もそう思います。私自身も、個人的に、世界株に投資するETF(上場株式投資信託)を持っています。初めての方でも、世界株のほうが分かりやすければそれだけで始めて良いと思うし、日本株、世界株の両方を持っても良いと思います。

山崎 日本株か世界株か、日本株と外国株の組み合わせか……。難しい問題ではあるけれど、現在は、日本株と外国株の相関係数が高まっています。つまり、日本株の動きが、NYダウ(米国株の指標)とドル/円の為替レートでほとんど説明できてしまう。つまり、株式を国内外に分散投資しても、リスクはあまり下がらない。しかし、多少は分散投資の効果があるので、使わないのはもったいない。個人の場合はなおさら、老後に使うお金は円だし、為替リスクをあまり取りたくないので、資産の配分は、外国株6日本株4か、5対5くらいの割合でしょうか。

――REIT(不動産投資信託)や国債のような債券はどうでしょう?

山崎 投資環境によります。国債の場合、今のように長期金利ゼロでリターンが得られず、債券価格の値下がりというリスクがある状況では、わざわざ資産の中に長期国債を入れる必要はない。長期金利が2%を超えるようになれば、債券と株式を組み合わせることで、リスクを下げる効果が期待できますが……。 現状では、国内株と外国株を持っていれば、世界経済の成長を享受できるので、米国債のような外国債券も無理に持たなくて良いでしょう。

 ポートフォリオの手本として紹介されることがあるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の基本ポートフォリオ(国内債券35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%)でいうと、外国債券の15%が弱点ですね。国内債券は彼らの立場上、持たないわけにはいかないのでしょうが、個人は金利が変動する個人向け国債を持つことができます。時価総額が小さいのと過去のデータがあまりないのでまだ個人には勧めていませんが、資産の一部にREITを組み入れるのはいい選択肢かもしれません。