――途中で止めずに続けるためには、どんな心構えが必要ですか。また途中で止めた人が戻りたいと思ったときは?

横山 まず「自分はどうしたいか」を決めることだと思います。そして正しい投資の知識を持つ。難しく捉える必要はなく、途中で止める人は、期待と現実に乖離(かいり)があるのだと思います。「投資をすれば300万円があっという間に1,000万円になる」というような幻想は捨ててください(笑)。そして「グリップ力」を発揮する。投資商品を、一度掴んだらカンタンには手放さない、ということです。

 そのためには、基礎の家計づくりが大切です。私事ですが、最近、子どもの入学金が必要になりました。結構な金額なので、あらかじめ想定して現金を用意しておかないと、投資商品を解約しなければなりません。強い投資のためには、しっかりした家計づくりが重要なのです。途中で戻る場合も、まず家計を見直してください。それができれば、投資を続けることができると思います。

中桐 病気になったら、私たちは何をしますか? 医学を学ぶのではなくて、腕のいい医者を探しますよね。投資も同じです。皆さんは本業が忙しいのだから、投資に対する基本的な知識は学ぶとしても、それ以上のことは信頼できる専門家に任せるほうがいい。

 お客さまに投資を続けてもらうためには、お客さまにリテラシーを求めるのではなく、私たちのような、資産運用のアドバイザーが、いい仕事をして信頼を得なければならないと肝に銘じています。信頼があれば長く続けられるのではないでしょうか。

山崎  投資未経験の人が最初の一歩を踏み出すことは難しいのですが、踏み出した後に続けることはもっと難しい。そこで、自分はなぜ投資をするのか、何に投資をするのかを紙に書いて、頭の中を整理するといいのでは? 「自分は、なぜ、投資をするのか」という理由と、「投資をすることでどうなりたいか」という未来像、さらに「どう投資をしていくか」という投資方針を紙に書き出す。そうすれば方向を見失わずに続けられるのではないでしょうか。一度投資を止めてしまった人も、初心に返ってこれを紙に書き出して、戻ってきてください。

 あとは、国に要望したいのですが、生命保険には生命保険料控除、相続不動産には小規模宅地の特例など、助成制度があります。そういう意味では、投資は補助が少ない。たとえば、積み立てで貯めた高齢者の資産は、相続税を一定額免除する、といったような優遇措置が欲しい。そうすれば投資への意欲も高まるのではないでしょうか。日本は有価証券に対して冷たい国だと思います。

横山 それはいい案ですね。

中桐 ぜひすべきです。提唱するだけでなく、環境を整えていければベストですね。投資に関わる我々も、どんどん声をあげていきたいですね。

――投資=難しい、という印象でしたが、基本的な考え方はとてもシンプルなのですね。投資金額を決めてリスクを管理し、まずはインデックス・ファンドを買ってみる。長く続けるための家計力を作る。投資方針を紙に書く。これなら今日からできそうです。ありがとうございました。

 

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