押し目買いは短期の投資スタンスで

 では、「結局どちらで見たら良いのか?」ですが、現時点では明確な判断が難しい状況です。

 こう書いてしまうとこのレポートの意味がなくなってしまいますので、「迷ったときは現場に返る」刑事ではありませんが、ここはシンプルにローソク足が織りなすトレンドに注目していきます。

■(図3)日経平均(日足)の動き その2(2019年3月8日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 あらためてトレンドとは、上げ下げを繰り返しながら、一定の方向に向かって進んでいきます。上昇トレンドの場合は、下げ幅よりも上げ幅が大きくなることで右肩上がりとなり、下落トレンドであれば、上げ幅よりも下げ幅が大きくなることで右肩下がりとなります。

 今年に入ってからの日経平均は大発会以降、上昇トレンドを描いているわけですが、図3を見ると、2月上旬のところで軟調な場面がありました。この時、上昇幅に対して大体38.2%押しのところで下げ止まって再び上昇基調に戻していたことが分かります。一般的に、強いトレンドは23.6%もしくは38.2%のところまでの調整を繰り返しながら継続することが多いとされていますが、現在の日経平均の戻り基調もこれに当てはまります。

 そこで、先週の下落をひも解いてみると、8日(金)の下落によって、上昇幅の23.6%押し(2万1,242円)は下抜けてしまいましたが、38.2%押しとなる2万859円まではまだ少し距離があります。今週の取引で株価が下落したとしても、この水準で下げ止まることができれば、2月と同じ値動きのリズムとなるため、再び株価が反発する可能性が高まると考えることができます。節目の2万1,000円台を割れたとしても、下落の許容範囲は多少残されていると言えそうです。

 とはいえ、上昇トレンドが継続するには、直近高値(4日の2万1,860円)を超えていく必要があります。日経平均を週足で見ても、52週移動平均線が上値の抵抗になっているほか、ローソク足が26週と100週の移動平均線を「二本下抜け」していること、MACDも「0円ライン」を超えられずにいることなど、目先の反発は期待できても、中期的な上昇につなげられるかは微妙なところです(下の図4)。

■(図4)日経平均(週足)とMACD動き(2019年3月8日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

そのため、押し目買いを入れるのであれば、まずは株価が38.2%押し辺りの水準で下げ止まるのかを確認すること、そして、直近高値付近でいったん手仕舞うという感じで、短期の投資スタンスが良いのかもしれません。