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ドル/円:一時110円台へ下落。米経済ピークアウトの予感?

 8日金曜日に発表された米国の2月雇用統計は、NFP(非農業部門雇用者数)がわずか2.0万人の増加にとどまり、事前予想の+18.5万人を大幅に下回りました。単月の落込み幅としては2004年以来最悪。ただし1月分については30.4万人から31.1万人に上方修正されています。

 一方、失業率は3.8%に低下。過去50年間で最も低い水準を維持しました。また平均労働賃金は前月比0.4%に上昇。前年比も0.4%の上昇となって10年ぶりの大幅な伸びを記録しました。

 リーマンショックの時にもなかったような雇用の急激なペースダウンは、米政府機関の閉鎖や悪天候の影響が大きかったといわれています。一時的な要因ならば次回は急回復もありえるので、それほど心配する必要はないでしょう。

 米国では今労働者不足が深刻な状況になっています(参考:雇用統計詳細レポート「米労働市場は人手不足が深刻。米利上げ再開は意外と早い?」)。もし、雇用が伸びなかったのは、働きたい人は全て職に就いてしまった、つまり労働市場はピークに達してしまったとすれば、大きな回復は見込めないかもしれません。平均労働賃金が上昇しているのは、企業が人手確保のために給料を引き上げたとも考えられます。

 これは株式市場にとって好ましい状況とはいえません。なぜかというと、「NFPの弱さ」と「賃金上昇の強さ」は、米国経済のピークアウトと金利上昇の同時発生をイメージさせるからです。

 ドルにとってみると金利上昇はプラス要因ですが、米経済成長の減速懸念はドル高のペースを鈍らせることになるでしょう。

 金曜日のドル/円はスタートから売りが優勢で、東京時間に今月初めての111円割れ。雇用統計前に111円台に戻す場面もありましたが、結果を受けて再び売りが強まると110.75円まで下落。終値は111.16円。

サポートは110.35円、109.70円。
レジスタンスは100日/200日移動平均の111.39円、112円。

クロス円もドル/円にツレ安。ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円がそろって週の安値をつけました。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成 
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ユーロ/円

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