3月に注目したい新興株の動き

 東証マザーズ指数は、再び1,000ポイントに接近しています。1月は979ポイントで跳ね返されていますので、心理的な節目(「指数がこの辺に来たから、そろそろマザーズ株売ろう」といような意味)として「マザーズ指数1,000ポイントは壁になるのか?」は少し気になるところです。とはいえ、(何度も書いていますが)マザーズ指数をテクニカル分析するというのは全く意味がないこと。

 サンバイオショックを経て、指数の中身は大きく変化しました(こういうことが頻繁に起きる指数)。治験失敗を発表する直前のサンバイオの指数ウエイトは13.7%、これが2月末時点では3.2%まで低下しました。2月末時点では、メルカリ(指数ウエイト8.2%)、ミクシィ(同5.4%)、アンジェス(同4.9%)が“三羽烏"。この3銘柄で指数ウエイトが2割に及ぶ指数に変化しています。

 3月は日銀会合やFOMC(米連邦公開市場委員会)など重要そうなイベントはありますが、何より米中の貿易協議でしょう。ひとまず、報道されているように27日辺りでトランプ/習近平会談が開かれるようであれば、日経平均株価も一段高する可能性が高いように思われます。この展開を想定する必要があるため、相場感的には「そろそろ日経平均も下がりそう」であっても、積極的に売りポジションが作れない・・・結果的に薄商いで、意外に下げない展開が続いているのだと思われます。日経平均株価が底堅い展開を保つなら、新興株市場も大きく崩れることはなさそうです。

 その他の要素も考えておきましょう。3月といえば、IPO(株式の新規公開)が増えます。今年はマザーズ11銘柄、ジャスダック2銘柄が上場予定。ただし、昨年12月のソフトバンクIPOのような需給を乱す大型案件はなく、IPO用の資金準備のための換金売りは考えなくても良さそうです。また、3月は国内企業の決算期末。持ち合い解消売りが出る時期とも言われますが、マザーズ銘柄の場合は大半が持ち合い解消売りとは無縁。東証1部、2部、ジャスダックの小型株よりは需給環境も良いのでは。

 では、何が注目か?ひとつ挙げるとすれば「3月25日のサンバイオの2019年1月期決算説明会」です。「SB623」の慢性期脳梗塞を対象とした米国フェーズ2b試験で、なぜ主要評価項目未達に終わったのか?試験を続ける可能性があるのか?・・・現時点では開示されていないものの、投資家がサンバイオに聞きたい疑問に何らかの答えが出るのかどうかに注目されます。開発継続なら強い買い材料、開発中止なら強い売り材料。他のバイオ株への波及効果も大きいといえるため、ぜひ覚えておいてください。