2.会社側は2019年3月期業績予想を下方修正

 今3Qまでの実績を見て、会社側は2019年3月期業績予想を下方修正しました。前回予想の売上高1兆4,200億円(前年比11.7%増)、営業利益1,200億円(同33.8%増)が、今回予想では売上高1兆3,700億円(同7.7%増)、営業利益1,100億円(同22.6%増)になる見込みです。売上高は500億円の下方修正ですが、受動部品、磁気応用製品、エナジー応用製品などが下方修正となりました。

 一方、修正後の会社予想によると、今4Qは売上高2,973億円(前年比3.2%減)、営業利益151億円(同25.3%増)となる見込みです。今3Qの受注悪化の影響が出る見込みですが、年明け後にスマホ向け、自動車向けともに受注が回復しているもようであること、2018年3月期から個別顧客とチップ積層セラミックコンデンサ(MLCC)の値上げ交渉を行ってきたため、その効果が出ていると思われることなどから、今4Qは営業増益が予想されます。

 

3.2020年3月期は伸び率は鈍化するものの増収増益へ

 楽天証券ではTDKの2020年3月期業績を、売上高1兆4,800億円(前年比8.0%増)、営業利益1,250億円(同13.6%増)と予想します。コンデンサ(受動部品)が自動車向け、スマホ向けに、電池(エナジー応用製品)がスマートフォン向けに伸びると予想されます。ただし、自動車、スマホとも販売台数の順調な伸びが続くか不透明感があるため、全社の増収率は一桁に止まると予想しました(前回予想から下方修正)。もっとも、前述のように2018年3月期からのMLCCの値上げ効果が期待できるため、10%台の営業増益が可能と思われます。

 今後6~12カ月の期間での目標株価を1万1,000円とします。2020年3月期楽天証券予想EPS 720.6円に想定PER15倍を当てはめました。前回の目標株価1万5,000円を引き下げますが、投資妙味が期待できると思われます。

表6 TDKの分野別売上高

単位:億円
出所:会社資料より楽天証券作成

本レポートに掲載した銘柄:村田製作所(6981)TDK(6762)