毎週金曜日夕方掲載

本レポートに掲載した銘柄

任天堂(7974)バンダイナムコホールディングス(7832)

 

任天堂

1.2019年3月期3Qは、26%増収、36%営業増益

 任天堂の2019年3月期3Q(2018年10-12月期)は、売上高6,083億9,000万円(前年比26.0%増)、営業利益1,586億2,400万円(同36.2%増)となりました。

 ニンテンドースイッチ・ハードは、前3Q724万台から今3Q942万台へ順調に伸びました。同ソフトは、前3Q2,508万本から今3Q5,251万本へ大幅に伸びました(任天堂製とサードパーティ製ソフトを含む)。今3Qに発売された3タイトル、2018年10月5日発売の「スーパー マリオパーティ」が530万本(任天堂出荷ベース、ダウンロードを含む、以下同様)、11月16日発売の「ポケットモンスター Let's Go!ピカチュウ・Let's Go!イーブイ」が1,000万本、12月7日発売の「大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL」が1,208万本と好調に売れたほか、「マリオカート8デラックス」「スーパーマリオ オデッセイ」などの過去作品も好調でした。今1Qからニンテンドースイッチ・ソフト販売本数は高い前年比を示していますが(今1Qは前年比2.2倍、今2Qは同74.1%増、今3Qは同2.1倍)、ハードウェアの累積効果(ハードウェアの普及に合わせて、ハード1台当たり年間3本強のソフトが売れるため、ソフトの伸び率がハードのそれよりも高くなる現象)が強く発現したと考えられます。

 一方で、3DSがハード、ソフトとも激減しました(ハードは前3Q300万台、今3Q131万台、ソフトは同1,743万本→481万本)。北米のクリスマス商戦ではソニーとの販売競争が激化しました。販管費も増加しました。このため、今3Q営業利益の伸び率は新型機発売後実質2期目としては多少物足りないものとなりました。

表1 任天堂の業績

単位:百万円
株価 29,315円(2019/2/7)
発行済み株数 120,125千株
時価総額 3,521,464百万円(2019/2/7)
単位:百万円、円
出所:会社資料より楽天証券作成
注1:発行済み株数は自己株式を除いたもの
注2:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益

表2 任天堂の業績予想の前提(2019年2月)

スマホゲーム

家庭用ゲームと玩具(前回)

家庭用ゲームと玩具(今回)

出所:楽天証券作成
注1:ポケモンGOプラスの2017年3月期、2018年3月期販売個数は楽天証券推定
注2:新しい楽天証券予想では、スマホゲームの予想を据え置いた

表3 任天堂:各ハード、ソフトの販売台数、本数(四半期ベース)

単位:万台、万本
出所:会社資料より楽天証券作成
注:端数処理の関係で一部合計が合わない場合がある

表4 2019年3月期1-3Qに貢献した任天堂製ニンテンドースイッチ用ソフトの販売本数

単位:万本
出所:会社資料より楽天証券作成
注:任天堂出荷ベース、ダウンロード、ハードウェア同梱を含む

 

2.会社側は2019年3月期会社予想業績を維持するも、スイッチ・ハードは下方修正

 今3Q決算は(多少物足りないところはあるものの)順調と言って良いものでしたが、会社側は今期2019年3月期業績予想として期初予想、売上高1兆2,000億円(前年比13.7%増)、営業利益2,250億円(同26.7%増)を維持しました。

 この予想の中で会社側は、スイッチ・ハード販売台数を前回予想2,000万台から今回予想1,700万台へ下方修正し、同ソフトを1億本から1億1,000万本へ上方修正しました(表2)。また、3DS・ハードを400万台から260万台へ、同ソフトを1,600万本から1,300万本へ下方修正しました。スイッチ・ハードは今3Qは順調に伸びましたが、今1Q、2Qが伸び悩んだため、今期2,000万台の達成は困難と会社側は判断しました。一方で、スイッチ・ソフトは好調で1,000万本上方修正されましたが、スイッチ・ハード、3DS・ハード、ソフトの下方修正で相殺されて、会社予想は期初予想を維持するというものになりました。