2.会社側は2019年暦年のテスタ市場減少を予想

 足元の好調な業績にもかかわらず、会社側は2019年暦年の半導体テスタ市場の減少を予想しています。米中貿易摩擦の影響と半導体デバイスの在庫調整が続くことによって、メモリ・テスタ、SoCテスタともに半導体テスタへの投資が減少するというものです。SoCテスタは、2018年推定市場規模約24億ドルから2019年推定約20億ドルへ約15%減、メモリ・テスタは、同じく約10億ドルから7~8億ドルへ20~30%減となるというのが会社予想です。

 会社予想では、半導体設備投資の回復は2019年暦年の後半からで、特に、メモリ・テスタへの投資再開は2019年6~9月頃になる見込みですが、米中貿易摩擦の進展次第では、回復までに時間がかかる可能性もあります。会社側は、次の回復時の牽引役は、2019年は7ナノ半導体向けSoCテスタ、2020年は5G用端末、5G用基地局、IoT向けSoCテスタと予想しています。

 この会社予想に対して楽天証券では、メモリ・テスタは会社側の市場予想に沿って2020年3月期は20%程度の減収となると予想していますが、SoCテスタについては、半導体の高性能化、テスト時間の長時間化が続くと思われるため、今期並みの売上高を予想します。このため、来期の楽天証券予想業績は、表1のように、売上高2,630億円(前年比5.4%減)、営業利益560億円(同11.1%減)となります。採算の良いSoCテスタの構成比が上昇すると予想されるため、営業利益率の低下は最小限になると思われますが、減収減益と予想されます。

 他の半導体製造装置メーカーの業績悪化に伴って、業績好調なアドバンテストの株価は狭いレンジ内の動きにとどまっていました。今期の会社側業績予想の上方修正による業績水準の上昇によってPERが低くなっています。来期は減益となる見込みですが、来下期からの回復に期待して今後6~12カ月間の投資を考えたいと思います。目標株価は前回の3,000円を維持します。中長期の投資妙味を感じます。

表2 アドバンテストの受注高

単位:億円
出所:会社資料より楽天証券作成

表3 アドバンテストの事業別売上高

単位:億円
出所:会社資料より楽天証券作成

 

東京エレクトロン

1.2019年3月期3Qは4%増収、1%営業増益、業績は大幅に鈍化

 東京エレクトロンの2019年3月期3Qは、売上高2,681億7,000万円(前年比4.0%増)、営業利益587億3,600万円(同1.1%増)となりました。今2Qの40.9%増収、50.3%営業増益から業績変化率は大幅に鈍化しました。

 今3Qの半導体製造装置(SPE)売上高(新規装置)は、前年比6.5%減、前期比(今2Q比)40.3%減の1,698億円となりました。この中で、DRAM向け、不揮発性メモリ(主にNAND型フラッシュメモリ)向け売上高が今2Qから減少しました。DRAM向けは今1Q659億円、今2Q854億円、今3Q475億円、不揮発性メモリ向けが同じく1,077億円→1,024億円→764億円と大幅に減少しました。DRAM、NAND型フラッシュメモリの在庫調整に伴う設備投資の減少によるものです。ロジックファウンドリ向け、ロジック&その他(MPU向けなど)も減少しており、今3Qは今2Q比で全アプリケーション向けが減少しました。