今日の注目通貨

ドル/円:一瞬110円つける

 水曜日(23日)のドル/円は、日本の物価目標達成に至る果してない道のりをあらためて確認して円安の動きが強まり、NY市場では一時110.00円をつけました。しかし滞在時間はごく短く、その後は当日安値(109.31円)近辺の109円台前半まで押し戻されています。

 日銀はこの日の政策会合において金融政策の維持を決定。展望レポートでは、経済成長の見通しを引き上げると共に、2019年の物価目標を1.4%から0.9%まで引き下げ。2013年に黒田日銀総裁は2年で2%の物価目標を掲げていましたが、2018年についに達成時期をギブアップしました。そして今や目標そのものを引き下げ中。ただし、日銀がこれ以上の緩和政策に踏み切ることはないという見方が多いようです。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

ポンド/ドル:ブレグジット修正案は諸刃の刃

 ポンド/ドルは大幅上昇、この日(23日)は1.3080ドルまで上値を伸ばし、昨年11月以来の高値をつけると、ポンド/円も143.57円まで躍進。

 ポンド上昇のきっかけはブレグジットに関して、ノーディール・ブレグジット(合意なき離脱)を禁止する権限を英議会に与える法案の成立見込みが高くなったという報道。ノーディール・ブレグジットに代わる案が存在するわけではないのですが、少なくとも回避の方向へ進むことがはっきりしたわけで、最悪の事態は避けられたという安心感をマーケットは持ちました。ただメイ首相にとっては困ったことになりそうです。

 メイ首相のEU(欧州連合)離脱協定案は先週1月21日、英議会で圧倒的大差で否決されて、その修正案が1月29日に採決の予定になっています。修正案といっても内容はほぼ同じで、マーケットの8割以上が否決されるだろうと考えています。それでも僅差でメイ首相が勝つという見方もあって予断を許しません。

 メイ首相は、離脱協定案が成立しなければノーディール・ブレグジットになる、と言って反対議員を説得しているのですが、法案成立でこの「武器」が使えなくなってしまうわけです。メイ首相辞任、総選挙突入というリスクが高まるわけで、政治混迷を嫌気したポンド安が次にやってきてもおかしくありません。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成