アルファポリス
1)小説・漫画投稿サイト「アルファポリス」を運営
アルファポリスのビジネスモデルは、自社直営の小説・漫画投稿サイト「アルファポリス」で人気のあった投稿作品を出版するものです。投稿された小説、漫画は出版されるまで無料で読むことができます。そして、読者が多い作品を出版するビジネスモデルです。
同種のウェブサイトで最大手は「小説家になろう」ですが、出版は外部の出版社からになります。アルファポリスもかつては「小説家になろう」の人気作品の出版を手掛けていましたが、出版競争が激しくなったため、2年前から自社サイトへの投稿作品からのみ出版することにしました。
今2Qの人気作品は、ライトノベル、漫画では「とあるおっさんのVRMM活動記」など、文庫では「居酒屋ぼったくり」などです。このうち「居酒屋ぼったくり」はドラマ化され、BS12で2018年4月から12話が放送されました。
また、まだ出版はしていませんが、絵本投稿サイト「絵本ひろば」を開設しており、エントリー数が増えています。アルファポリスではこれが重要なサイトになると予想しています。
このようなビジネスでは、マルチメディア展開も重要になります。有力作品については、ライトノベル→漫画→アニメへの展開も行うもくろみです(過去には、「ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり」をアニメ化し一定の成果が出た)。現在2作品のアニメ化が進んでいます。
表2 アルファポリスの業績
表3 アルファポリス:売上高内訳
2)出版不況の中で成長が続く
出版不況が続いていますが、アルファポリスは順調に業績を伸ばしています。2018年3月期は売上高42億1,300万円(前年比32.3%増)、営業利益7億5,700万円(同4.4倍)、2019年3月期上期は、売上高22億4,900万円(同21.9%増)、営業利益6億900万円(同3.0倍)となりました。赤字のゲーム事業を2018年1月に当社が34%出資する「アルファゲームス」に売却し、決算から除外したことも業績を押し上げました。
2019年3月期下期も今上期並みの業績が期待できそうです。会社側では、今期2019年3月期を売上高48億円(前年比13.9%増)、営業利益12億円(同58.5%増)と予想しています。また、来期2020年3月期も増収増益が期待できます。楽天証券では来期業績を、売上高56億円(前年比16.7%増)、営業利益16億円(同33.3%増)と予想しています。引き続き、ライトノベル、漫画中心に二桁増収が期待できます。
今後6~12カ月間の目標株価は、2020年3月期楽天証券予想EPS110.5円に想定PER25~30倍を当てはめ、3,000円とします。投資妙味を感じます。