今やすっかり市民権を得た「ふるさと納税」。昨年に寄付を済ませた方も多いと思います。ところで1月10日締め切りの「ワンストップ特例」の申請は終わっていますか?

 

ふるさと納税の「ワンストップ特例」とは

 明けましておめでとうございます。本年も、ぜひとも知っておきたい税金に関する知識・情報の提供を通じて、読者の皆さんのお役に立てればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 今回はふるさと納税についてです。ふるさと納税には「ワンストップ特例」という制度があるのをご存じですか?

 寄付をした自治体に対して申請書や必要書類を提出することで、確定申告をしなくてもふるさと納税の寄付金控除が受けられる、というものです。もともと確定申告が必要なく年末調整のみで税計算が終了する会社員の方などを対象にしています。

 また、寄付をする自治体は5つまでという制限があります。6つ以上の自治体に寄付をした場合はこの特例を受けることができず、確定申告をする必要があります。
 なお、「寄付の回数は6回以上だが、複数回寄付をしている自治体があるため自治体の数は5つ以内に収まる」という場合はワンストップ特例を使うことができます。

 

ワンストップ特例の申請は2019年1月10日まで!

 ワンストップ特例を受けるための手続きおよび留意点は以下のとおりです。

●寄付をした自治体宛に寄附金税額控除に係る申告特例申請書および必要書類を郵送する(同じ自治体に2回以上寄付した場合はその都度、申請書の郵送が必要)

●2018年分のふるさと納税にかかる申請書および必要書類の郵送は、自治体へ2019年1月10日必着で送る必要がある

 例えば5つの自治体にふるさと納税をして、4つは申請書を期限内に郵送したものの、1つだけ忘れていた、という場合は、その1つは、ワンストップ特例を受けることができません。

 

ワンストップ特例の申請を忘れたらどうしたらいい?

「ワンストップ特例の申請、すっかり忘れていた!!」という方は、寄付金控除を受けることを諦めなければならないのでしょうか?

 いいえ、ご安心ください。そんなことはありません。ワンストップ特例はあくまでも特例であり、本来は確定申告をしてふるさと納税分を寄付金控除するのが原則です。

 ですから、ワンストップ特例の申請を忘れていた場合も、ふるさと納税につき確定申告をすれば問題ありません

 

確定申告をしたらワンストップ特例は無効に?

 逆にすでにワンストップ特例の申請を期限内に済ませた、という方も注意が必要です。実は、ワンストップ特例は確定申告をすると「無効」になってしまうからです。

 例えば「医療費控除を受けるとき」や、「住宅ローン控除の初年度」は必ず確定申告をしなければいけません。

 また、証券取引で一般口座や源泉徴収なしの特定口座で売却益が生じた場合や、損失の繰り越しをする場合、さらには過去の損失と配当金を相殺する場合なども確定申告が必要となってきます。

 ここで、「ふるさと納税はすでにワンストップ特例の手続きを済ませてあるから」と、確定申告の際にふるさと納税の寄付金控除を入れ忘れるとどうなるでしょうか?

 確定申告をした時点でワンストップ特例は全て無効になります。したがって、ふるさと納税分の寄付金控除は全く考慮されなくなってしまうのです。

 もし確定申告をする場合は、「ワンストップ特例の手続きを済ませていたとしても、改めて全てのふるさと納税を寄付金控除の金額に含める」ようにしてください。

 また、例えば5つの自治体のうち4つはワンストップ特例の手続きをしたが、残り1つは手続きを忘れてしまった、という場合も注意してください。控除を受けようと確定申告にて残り1つの自治体分だけ寄付金控除をすると、ワンストップ特例の手続きをした4つの自治体分は無効になってしまいます。「確定申告をする場合は、ワンストップ特例の手続きを済ませた自治体の分も含めて、全て寄付金控除をする必要」があります。

 なお、仮に確定申告の際にふるさと納税分を入れるのを忘れていた場合は、5年以内であれば「更正の請求」という手続きにより確定申告書を出しなおし、寄付金控除の適用を後日受けることができます。

 ふるさと納税で返礼品が逆に高くついた……ということがないよう、確定申告の手続きはしっかりと確認し、忘れないようにしてくださいね。