今、多くの人は「景気はいいのに株が下がっている」と感じていますが、来年になると「景気が悪いので株が下がった」と感じる人が増えるでしょう。その兆しがいろいろなところに出てきました。

 その世界景気の重しになっているのは、米中貿易戦争です。

 米中の貿易摩擦は以下のような流れで、世界経済に影響します。

  1. 中国に設備投資をしようとしていた企業が、その投資を凍結する。
  2. 貿易戦争からハイテク戦争に移行し、AI、IoT関連企業の業績が減速

 4つの目の理由は、日本企業の業績にも悪化の兆しが出始めていることです。

 日本企業の業績で言うと、3月決算企業の9月中間決算は、上方修正する企業のほうが、下方修正する企業よりも多い状況でした。しかし、ここから下方修正が優勢になると見ています。東証1部企業の今期連結純利益は、市場予想では小幅増益ですが、楽天証券では5%前後の減益になると考えています。

 その背景としては、

  • 中国の設備投資の急ブレーキで関連企業の業績悪化
  • 米中ハイテク戦争の影響で、ハイテク関連企業の業績悪化
  • 資源価格急落による素材市況関連企業の業績悪化。鉄鋼、非鉄、化学、石油精製関連など

 などがあります。

 

 ここから来年1月から3月にかけては、日本株については上値の重い展開が予想されます。ただし、先にお話したように、2020年に世界景気は回復すると考えており、2019年の4-6月に株価は底打ちしていくシナリオを想定しています。

 世界景気が回復すると考える理由は以下の4つです。

  • 米中貿易戦争は、ここからさらにエスカレートするが、来年中のどこかで落としどころを見つけ、収束すると予測
  • 原油価格急落は短期的には企業業績にはマイナスだが、2020年には資源安メリットが業績を押し上げると予測
  • 日本の消費増税は景気対策が打たれることで景気後退を回避。2020年の東京オリンピックに向けて景気は盛り返すと予想
  • 世界景気は、社会のネット化はその速度を弱めることはなく、AI・IoT・ロボット関連を中心に回復を見せると考えています。

 ここから悲観論が増えてきますが、私は平成の30年で構造改革を成し遂げた日本株の魅力は高く、ここはよい買い場と判断しています。