原油急落で、株価が下がった大手総合商社に投資妙味を感じる

 原油急落を受けて、10月以降、資源関連株は総じて大きく下がりました。資源事業の利益は、資源価格が下がれば縮小するからです。

 2016年以降、原油だけでなく、鉄鋼石・石炭・銅など、資源価格は、全般的に反発が続き、これで日本企業の資源ビジネスは息を吹き返しました。ただし、世界的な技術革新によって原油などの資源を安く大量に生産する技術は、年々進歩しています。資源が供給過剰におちいって市況が急落することは、これからも起こりえます。そうした不安を反映し、資源関連株は総じてPER(株価収益率)などのバリュエーションで、割安となっています。

 私は、資源ビジネスにほぼ特化しているピュアな資源株は、収益が不安定なので評価しません。具体的には、国際石油開発帝石(1605)石油資源開発(1662)には投資したいと思いません。

 ただし、資源ビジネスで稼ぎながら非資源ビジネスの収益を伸ばし、最高益を更新してきている大手総合商社には、積極的に投資したいと思います。2019年3月期の連結純利益(会社予想)で、最高益更新を見込んでいる、伊藤忠商事(8001)丸紅(8002)三井物産(8031)三菱商事(8058)住友商事(8053)に、投資妙味を感じます。いずれも、PER・PBR(株価純資産倍率)が低く、予想配当利回りは4%超になっており、株価バリュエーションから見ると、割安と見えます。

大手総合商社5社の株価バリュエーション:2018年12月4日時点

コード 銘柄名 株価:円 PER:倍 PBR:倍 配当利回り
8031 三井物産 1,763.5 6.8 0.7 4.5%
8058 三菱商事 3,045.0 7.5 0.9 4.1%
8001 伊藤忠商事 2,018.0 6.2 1.1 4.1%
8002 丸紅 844.8 6.3 0.7 4.0%
8053 住友商事 1,726.5 6.7 0.8 4.3%
注:PERおよび配当利回りは、2019年3月期の1株当たり利益および配当金(会社予想)から計算、12月4日時点で楽天証券経済研究所が作成

 ただし、一つ注意点があります。商社ばかりに集中投資すべきではありません。「同じバスケットにすべての卵を入れるな」という投資格言があります。単一のリスクを取りすぎないよう、分散投資せよという意味です。

 大手総合商社は魅力的な投資対象であると考えますが、世界景気敏感株で株価のボラティリティ(変動性)が大きいことを考えると、あくまでも分散投資の一環として、保有すべきと考えます。

 

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