円安が進んだわりには、企業業績の伸びに勢いがない

 9月中間決算の発表が終盤に入っています。これまでの発表を総括すると、円安が進んだわりには物足りない決算と言えます。上半期が好調でも下半期に強気になれず、通期の業績予想を上方修正しない企業が多くなっています。中国景気が減速している影響が日本の企業業績にも影響を及ぼしつつあります。

東証1部3月期決算、主要841社の連結純利益(前期比変化率):2016年3月期~2019年3月期(予想)

出所:楽天証券経済研究所が作成

 過去、私が日本の輸出企業から聞いた話を総括すると、業績に影響を及ぼす重要なマクロ要因が3点あります。重要な順に言うと、

(1)米国景気

(2)中国景気

(3)為替

です。今上期(2018年9月期)の投資環境を見ると、(1)米景気好調(3)円安進行が追い風の一方、(2)の中国景気の減速が逆風となっています。

 

ドル円では円安が進んでいるが、他の通貨に対しては円高が進行

 今年の日本の企業業績にとって、対ドルで円安が進んでいることは追い風です。以下の通り、今年は、3月に一時的に円高が進んでいました。そのため、今期(2019年3月期)の業績予想をたてる際、日本の輸出企業は1ドル105円など、円高を前提に予想をたてていました。

ドル/円 為替レートの動き:2018年1月1日~11月12日

 

 

 ところがその後円安が進んだため、為替は以下の通り、今期業績予想を上方修正する要因となりました。

ドル/円平均為替レートの推移:2017年3月期~2019年3月期(2018年11月12日まで)

 

 

 過去3年を振り返ると、ドル/円為替レートは、1ドル=108~111円で安定しています。一時的な円高・円安を除けば、為替が日本の企業業績に与える影響は小さくなっています。

 今期の為替は対ドルでは円安が進んでいますが、他の通貨(人民元・ユーロ・その他新興国通貨)に対しては円高が進んでいます。ドルが独歩高になっているためです。ドル以外の通貨に対して円高が進んでいることは、日本の企業業績にマイナスとなっています。