今期の連結純利益(会社予想)の上・下方修正額が大きい企業

 上半期が好調でも、下半期に不安を持つ企業が増えています。その結果、円安が進んだわりには、通期(2019年3月期)業績予想を上方修正する企業が少なくなっています。以下に上・下方修正額の大きい企業を挙げます。

今期(2019年3月期)の連結純利益(会社予想)の上方修正額が大きい14社:11月9日時点

NO コード 銘柄名 上方修正額
1 6758 ソニー 2,250
2 7203 トヨタ自動車 1,800
3 5020 JXTGホールディングス 1,200
4 7267 本田技研工業 1,050
5 4502 武田薬品工業 505
6 8001 伊藤忠商事 500
7 8058 三菱商事 400
8 5019 出光興産 370
9 6981 村田製作所 300
10 8031 三井物産 300
11 4188 三菱ケミカルホールディングス 290
12 1951 協和エクシオ 232
13 3407 旭化成 200
14 6857 アドバンテスト 182

単位:億円
出所:各社決算短信より楽天証券経済研究所が作成

 上方修正を素直に評価できるのは、ソニー・武田薬・村田製作所・三菱商事・三井物産・アドバンテストなどです。一時的要因によって、上方修正となっている企業は評価できません。

 自動車(トヨタ・ホンダ)の上方修正額は大きいが、円安が進んだわりには物足りないと言えます。米国での販売苦戦が影響しています。トヨタの販売車種構成が改善していること、ホンダの新興国での二輪車販売が好調であることは評価できます。それでも今後、貿易戦争でダメージを受ける可能性があることも考慮すると、自動車株は、積極的に買いにくい環境が続きます。

 石油精製(JXTG・出光)も、上方修正の上位に出ていますが、評価はできません。これは、今期の原油価格が予想以上に上昇した効果によるもので、一時的要因です。保有する原油在庫に評価益が発生します。原油価格は、足元大きく下がっており、これは下半期の利益の押し下げ要因となります。

今期(2019年3月期)の連結純利益(会社予想)の下方修正額が大きい14社:11月9日時点

NO コード 銘柄名 下方修正額
1 6366 千代田化工建設 ▲ 1,115
2 7270 SUBARU ▲ 530
3 5938 LIXILグループ ▲ 485
4 7003 三井E&S ▲ 470
5 9101 日本郵船 ▲ 350
6 8035 東京エレクトロン ▲ 330
7 7733 オリンパス ▲ 330
8 7261 マツダ ▲ 300
9 9831 ヤマダ電機 ▲ 295
10 9107 川崎汽船 ▲ 270
11 9502 中部電力 ▲ 250
12 9437 NTTドコモ ▲ 250
13 8848 レオパレス21 ▲ 200
14 7242 KYB ▲ 189

単位:億円
出所:各社決算短信より楽天証券経済研究所が作成

 下方修正を発表した企業には、構造的に利益が悪化している企業が含まれます。海外プラント事業の採算悪化から、千代田化工建設は予想以上に大きな下方修正となりました。海運(日本郵船・川崎汽船)も、構造的な不振が続いています。

 SUBARU・レオパレス21・KYBなど、不祥事に関与した企業も、収益が悪化しています。

 

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