売買代金ランキング(5銘柄)

1 ALBERT(3906・東証マザーズ)

 この荒波にあって、売買代金トップながら月間プラスだったことは称賛すべき。月初1日に、損保大手の東京海上日動火災保険と資本提携すると発表。月末30日には、その東京海上とトヨタ自動車も交えた3社間で、高度な自動運転の実現に向けた業務提携を行うと発表しました。ビッグネームとの提携で更なる受注拡大に期待されます。

 また、17日には足元業績の想定上振れも発表しています。2018年12月期の最終利益が、従来予想の0.67億円から1.3億円に倍増へ。自動車業界で期待されるAI投資の拡大を、早くも“実需”としながら業績を拡大させているAI関連株といえます。

 

2 テリロジー(3356・ジャスダック)

 発行済み株数に対する信用買い残の比率が約25%と高水準。個人投資家の信用買い銘柄として人気化してきた代表格です。それだけに、「追い証」発生が需給悪につながった10月後半は、とりわけ下げの度合いも大きくなりました。

 日次ベースで最大の下落率だったのは、25日の▲22.37%(ストップ安)。その後に出た空売り残高報告で、このタイミングでのヘッジファンドによる大量空売りの形跡も確認できました(発行済み株数の約7%に相当する空売り残高)。信用買い残が極端に多かったこともあり、いわゆる“ロスカット狩り”を狙った投機の売りも下げを助長したといえます。

 

3 メルカリ(4385・東証マザーズ)

 今年6月のIPO(新規公開株)時、そのIPO株は入手困難な“プラチナチケット”とも評された銘柄でした。ただ、上場日に一瞬付けた6,000円を上場来高値に、その後は下げっ放し。とはいえ、公開価格の3,000円に接近すると買いが入っていたのですが…IPO株を3,000円で買えた投資家ですら、10月にマイナスになってしまいました。

 株価が下落する過程では、逆張りの信用買いが入り、信用買い残が100億円強に達していました。信用買い残の金額ベースでは、新興株の全銘柄中で最大。「追い証」発生が意識される局面で、損失確定で売る投資家が多かったといえます。下げが下げを呼び、メルカリの下げがマザーズ指数の下げを大きくする悪循環に。

 

4 UUUM(3990・東証マザーズ)

 新興株全体の地合い悪化に巻き込まれましたが、その手前12日に好決算を発表しています。2018年6~8月期(第1四半期)は、売上高が前年同期比75%増の41.7億円に。増収効果が大きく、営業利益は前年同期の2.8倍となる3.2億円とかなりの好決算。動画投稿サイト「ユーチューブ」で人気のユーチューバーを多く抱え、「はじめしゃちょー」「HikakinTV」などのチャンネル登録者数が今なお拡大しているようです。

 この10月に、写真共有アプリ「インスタグラム」に特化したインフルエンサーマーケティングのプラットフォーム運営会社(レモネード)を吸収合併。中小型株の分析に定評があるいちよし証券では9月末、この買収が業績拡大に貢献するとして目標株価を4,500円に引き上げていました。業績の裏付けがあるだけに、またとない押し目を拾いに向かう中小型ファンドなども出てくるのでは?

 

5 フィンテック グローバル(8789・東証マザーズ)

 月間では小幅マイナスでしたが、新興株が真っ青な期間の“野中の一本杉”でもありました。埼玉県飯能市に、北欧のライフスタイルを体験できる施設「メッツアビレッジ」が11月9日、ムーミンの物語を主題とする「ムーミンバレーパーク」が2019年3月16日に開業を予定しています。後者の「ムーミンバレーパーク」を運営するのが、同社子会社のムーミン物語。このムーミン物語と、ソニー・ミュージックエンターテインメントが資本業務提携したと29日に発表。最小投資額の小さい低位株ということもあって、値幅取り妙味だけを期待した短期資金のよりどころに。