11月に注目したい新興株の動き

 暴落を経て迎える11月の新興株市場。前述の通り、追証の強制決済売りが最も多かったと見られる「10月30日寄り付き」を通過し、需給的なアク抜けから強いリバウンド相場に転じています。個人投資家の懐事情を理由にした、価格無視の下落…これはすでに峠を越えています。では、リバウンドはどこまで続くのでしょうか?

 10月30日をボトムにしたリバウンドの過程で、個人投資家の人気株は足並み揃えて上昇しました。一緒に下がって、一緒に戻している…ひとまず、個人投資家の動向だけに注目するなら、「急落→急反発」の両タイミングで値動きが目立った高流動性株をセットで監視し、その足並みがどこで崩れるかを見ておくだけで良さそう。

「急落→急反発」の両タイミングで、その通りに動いた高流動性株(かつ信用買い残も多い銘柄)でいえば、マザーズではメルカリそーせい、ジャスダックならテリロジーMTジェネックス辺りが指標銘柄でしょう。足元で急反発したのは、極度な悲観の反動。反動ですので、長く続くことは期待しないほうがいいでしょう。そもそも、ファンダメンタルズ的に売られ過ぎと言える根拠はないわけで…。

 これら、個人投資家の人気を支えに売買されている銘柄については、目先は決算発表が鬼門になります。8日(木)にマザーズのメルカリそーせいフィンテックミクシィ、ジャスダックのハーモニックフューチャーVCなどの決算発表が重なります。社数が多いのは週末9日(金)で、ジャスダックのテリロジーやMTジェネックスが予定されています。メルカリについては、何らかの業績予想の開示があればポジティブでしょうか。その他の銘柄では、理想と現実のギャップに苦しむ銘柄が多数出てきそう。

 ただ、成長性が高く、中小型株ファンドが好みそうな優良銘柄に関しては朗報もあります。需給要因で想像以上に10月の新興株が崩れたことで、好パフォーマンスを誇った小型株ファンドのパフォーマンスも著しく劣化しました。その結果、銘柄選びに定評のある小型株ファンドで、“申込受付再開”の発表が相次ぎました。具体的には、「日興グローイング・ベンチャーファンド」、「小型株ファンド(グローイング・アップ)」、「小型成長株ファンド(jcool)」の3本。

 この3本のファンドに共通するのは、運用の助言を独立系の投資顧問会社エンジェル・ジャパンアセットマネジメントがしているということ。そのため、ファンドの組入れ銘柄も大半が重複しています。申込受付の再開日も3ファンドとも今月2日から。

 直近の開示分から、組入れ対象として重複しているのがマザーズではイトクロラクスなど。基準価格が大きく下がった小型株ファンドに、再び個人投資家の資金が入ることになれば、ファンド好みの優良銘柄のパフォーマンス改善に寄与するでしょう。ただし、あくまで、“個人投資家の資金が入れば”…。何度も裏切られた2018年の株式市場、かなり懲りた投資家が多いとも聞かれ、理想通りの年末高実現にはなかなか期待はできません。